新店売上予測「超」入門(3)「売上予測=社内合意」という“覚悟”の重要性
売上予測が外れる本質的な理由は何か?当たる予測に近づけるには何をすべきか?単回帰分析だけでは当たらない理由は?売上予測のそもそも論についてお話します。
売上予測が外れる本質的な理由は何か?当たる予測に近づけるには何をすべきか?単回帰分析だけでは当たらない理由は?売上予測のそもそも論についてお話します。
売上予測で綺麗な傾向が出ない場合はどうすれば?店舗面積と予測売上の関係を例に、単回帰分析式2本を使い分けるシンプルな方法を解説します。
「当たらない」「やり方が分からない」と悩む方も多い新規物件の売上予測。店舗開発の売上予測に必須の統計学・Excel知識を、実務直結、中学数学だけでズバリ解説します。
店前通行量と店舗売上の関係は?かつて強力動線上の路面店で予測を大外しした痛い経験の教訓から、店前通行量の見方、通行人数以外に確認すべき重要ポイントを解説。
店舗や物件の視認性、見えるか見えないか?物件判断でよく論点となる、店舗開発者には悩ましい言葉です。数値化・売上予測での考え方、実務での注意点を解説。
既存店分析・物件調査・売上予測実務の方法をラーメン二郎を題材に実践中。八王子野猿街道店2の立地評価と現調報告編です。数店舗データの比較のやり方もご紹介。
首都圏の西端にある都市型ロードサイド立地の「ラーメン二郎めじろ台店」の立地評価と現調を実践。手順を追ってご説明します。売上予測の考え方もお話します。
あるべき店舗開発者の物件プレゼンを考えるヒントとしてお手本になるのはベテランの不動産業者さんです。家を借りた際の物件現調のときを思い出してください。どのような説明をしてほしいか?こんな説明だったら断ると思うのはどのような説明か?を考えてみてください。
プレゼンの際の重要な心構えは「物件について良いことばかりを言わないこと」です。マイナス要因はあって当然で、売れる要因しかなく、売れない要因がないような完璧な物件などないと考えてください。良いことばかり言う人が信用されないのと同じことです。
“即刻アウト”になってしまったかわいそうなプレゼンの思い出話です。教訓にすべきことは、物件プレゼンの方法を店舗開発部員各自に任せっきりにするのは危険であること、そして、物件説明を、物件そのものの説明から始めることは危険であるということです。
売上予測で物件・立地評価は重要なのでそちらを早く話すべき、と思うかもしれませんが、危険が伴います。自社店舗の売上予測をする際に把握すべき「売上が決まる仕組みに関するストーリー」が作れない危険と、会議で新規物件の出店承認が得られなくなる危険です。
要因が自社店舗<競合店舗の場合はマイナスに影響しますが、逆の場合影響は受けにくいと考えるべきです。要因には座席数、接客要員人数など店舗の供給能力に関するものや立地も含まれます。競合を考える場合、数だけでなく規模や立地等の性質も評価してください。
同じ業種の店舗が周囲に全くない場合は安全か?飲食業態では休日の広域繁華街で周囲に競合店舗がある方が繁忙時間売上が上がる傾向がありました。サービス業種で周囲に競合店がない地域では利用習慣がなく売上が厳しい場合も。ある程度共存企業も必要そうです。
自社店舗顧客の物理的な行動と関連が強そうな他の業界のテナントを洗い出すのは有意義です。同じフロアや至近距離にこうした店舗が“あるかないか”を確認し、“ある”グループは“ない”グループに比べ売上が高い傾向が読み取れれば、売上に影響していると考えて良いです。
クイズです。ある大型商業施設に近視の消費者が来訪しました。来店理由の一つに“新しい眼鏡・コンタクトレンズを作る”が含まれているとして、それだけで帰ることは考えにくい。核テナント以外のテナントで、その消費者が立ち寄る可能性が高いのは何屋でしょう?
「店舗の近くにあるものの有無」は誰が見ても変わらない内容で、積極的に予測に含めたい。近距離に駅がある店舗の売上が高くなるなら、駅は売上にプラスに作用すると考えられます。ただし逆に作用することも。業種・業態・企業により様々なケースが考えられます。
自社店舗と相性の良い/良くないテナントや施設がないか?それが同じ商業施設内や店舗から一定の距離にないか?競合店の有無、店舗が商業施設のメイン入り口フロアにないか?等「あるかないか」の二者択一でとらえられる店舗周辺環境は、売上予測の重要な要因です。
市場規模から最大どの程度の売上が期待できる市場かを説明⇒それを基準に物件周辺環境が自社に良い要因を含んでいるかを考慮して金額を調整⇒物件の立地や建物構造の機会点と問題点を加味してさらに調整⇒という順序による説明は、聴く側の頭にすんなり入るものです。
市場規模の次に加える数字には、市場規模に関連する要因は含めないでください。同じような関連の仕方をする数字は2つも要らない。売場面積は含めるべきです。市場の量ではなく質を示す情報があれば含めたい。競争環境、自社の立地や物件構造も加味したいところです。
市場規模に関する数字は必ず含めるべきですが、具体的にどの数字を使うか?周辺人口、世帯数、事業所数、従業員数や最寄駅乗降客数、周辺の小売業年間販売額等のどれを使うか?店舗数が少ない場合は、他の要因も売上に影響するため、どれを選んでも大差ありません。
売上予測は、関連データ・情報をあるだけ関連させてしまいがちですが、これでは時間や労力がかかり、説明しづらい予測に。この問題は、ある数値が類似しているのに売上に差がある店舗がないか?の確認で解決できる。それを客観的な数字で表すのが腕の見せ所です。
病院の市場規模は何で測るか?大きいとコーヒーが多く売れると考えられる数字は?外来患者数は変化するため使えない。病床数は患者数に関連しそうで日々変化しない数字で、5000程度あると特大病院ですが、売上との関連が強くない。他の原因を探る必要がありました。
商業施設の館が一つの場合、売場面積が同じでも売場の集積度が高いためテナントの売上は高まることが期待できます。館が複数あると、売場が分散して店舗の集客力もばらけ、売上も低くなりがち。増床や新館オープンは売上予測の際マイナス要因と考えた方が無難です。
大型施設に出店する場合に注意すべきこと:市場規模だけにとらわれて売上を楽観的にみると怖い。商業施設の売場面積が同等なのに、テナント店舗の売上に大きな差がありました。店舗面積に大きな差はありません。差がつく原因としてどのようなことが考えられますか?
店舗面積が同じくらいの面積で、売上に差がある店舗がないか確認してください。店舗には適正規模があり、業種・業態・立地等により変わります。ここまでが従来の考え方でしたが、コロナ以降の売上について同じような傾向が続いているかはよく検証する必要があります。
人口に売上高が伴わない場合、商圏が面的に占める割合を航空写真で確認します。商圏が円形になることは稀です。住宅やビルなどの分布を見て、人口集中地区がどの辺か、交通網がどう配置されているか把握します。店舗周辺に人があまりいない場合売上高は低くなります。
店舗売上高が、市場規模を示す人口に伴って増えているか?人口の値が類似しているのに、売上に開きがある店舗がないか?差があるのはなぜか?なぜ売れないのか、劣っている点は何か?と考えます。同僚にも尋ねてみましょう。売れない理由は意外と出てくるものです。
市場規模と売上高の関連は今こそ丁寧に分析する必要があります。コロナ前までは単純に市場規模が大きいことは良いことと考えられていました。が、コロナ騒動を通じて人々の行動は変化し、市場規模が大きいことが良いことと単純には考えにくくなりました。
店舗数が30店舗以下の場合、はじめから重回帰分析を行うことなど考える必要はありません。まずは売れている店舗と不振な店舗のグループ間の違いがなぜ生じるかを言葉で説明する必要があります。それぞれのグループに入る店舗に共通することは何か?問いかけるのです。
ステップバイステップでご一緒に売上予測モデルを構築。お客様ご自身の言葉で売上予測の根拠を社内に説明できるようになり、社内でメンテナンスも可能です。