そもそも「視認性」とはどういう意味か?

当ブログでは、店舗開発業務でよく使われるものの、定義や用法がいまいち明確ではない用語をとりあげて解説してきました。その一環として、本日は「視認性」をとりあげます。良く知られているが、なるべく話題にしたくない用語、というお話です。

やや過激なこともお話するのですが、よろしくお願いします。

「視認性」という言葉、これは、よく知られており、よく使われる言葉だと思います。

そもそもこれは、どういう意味なんだろう?ということで、辞書をひいてみました。すると、こう書いてあります。

視認性とは、目で見たときの確認のしやすさ。デザインや人間工学の分野において、背景に対し色や形が際立っていたり、文字が大きくてわかりやすかったりする度合い。

https://dictoinary.goo.ne.jp/

目で見たときの確認のしやすさ、これを視認性といいます。よく見えるかどうか、ということですね。そういうことを評価するときに、話題になります。

目で見たときに確認がしやすいときは「視認性が良い」。逆に、目で見たとき確認がしにくいときは「視認性が悪い」、なんていう使い方をする言葉です。

視認性の数値化・得点化がやっかいな理由

これがなかなか、やっかいな言葉なんです。

その視認性の定義を店舗開発という領域に持ってくると、

  • 店舗や物件を目で見たときに、確認しやすい場合は、その店舗の視認性が良い。
  • 逆に、確認しにくい場合は、店舗の視認性が悪い。

ということになるわけです。良い・悪いがあるんですね。

ですからよく、この店舗の視認性を得点化・数値化するということを試みて、売上の高低と関連させ、売上予測に用いることを試みようとします。

しかし、この視認性を得点化して売上予測に用いるということは、言うのは簡単なんですが、きちんとやるのは非常に難しいです。

こういう問題があります。

まずは、「再現性」の問題があります。簡単にいうと、Aさんという、ある店舗開発担当の人がいます。その人が、同じ物件を評価するんですけれども、日時を変えて、もう一回やってみるんです。その時に、同じ得点がつくのか?昨日はすごくよく見えたんだけれども、今日はよく見えないとか、そういうことってあり得ますよね。

それから、人によってバラつきが出る可能性があるという問題があります。AさんとBさんの2人がいたとします。この2人が同じ店舗の評価をして、同じ点数がつくか?ということなんです。店舗開発担当が「見えます、見えます」と言うんですけれども、店舗のオペレーションを担当する部署の人は結構保守的で、「よく見えない」と言ったりすること、ありますよね。

さらに、道行く一般人の人は、店舗の視認性を評価しているのか?視認性を評価するように見ているのか?という問題があります。このあたりも、スマホを見ながら歩いている方も多いご時世を考えると、ちょっと疑問なんですね。

街の景色をパッと見ると、色々な店舗が、街の中に出店していて、看板を出して、ひしめき合っているわけですよね。こういう中で、特定の物件を見て、得点をつけていくということが、意味があることなんだろうか?と思わざるを得ないんです。

視認性の数値化・得点化の考え方

ですから、この視認性というものを、どういう風に考えるか、ということですが、

まずは、ずば抜けていいものがあります。逆に、ずば抜けて悪いものもあります。

簡単に言うと、ずば抜けていいものというのは、周りに何もなくて、その店しかなくて、どうしてもその店が目に入ってしまうようなものです。ある大手外食チェーンの本部の方で、「吸い込まれるような立地」という言葉を使っていらした方がいらっしゃいましたが、本当に、自然に目に入ってしまって、自然にその店にはいってしまうような、ずば抜けて良いというものがあります。

その反対が、ずば抜けて悪い、です。はっきり言って、全然見えない。

この2つがあります。これはお分かりいただけるかと思います。

しかしながら、この〇と✕の間にある中間のものを得点化するというのは、困難です。もっと悪い言い方をすると、あまり意味がないと思います。

私も、店舗の視認性の得点をつけてみたことがあるんですけれども、はかなく終わることがほとんどでした。視認性は、中間部分を得点化するのは困難なのだ、細かく分けていくのは困難なのだと考えた方がいいと思います。

ですから、視認性とは、となったときに、どのように考えるべきかというと、弊社ではこのようにお話をしています。

視認性がいい、となることは少なくて、たいていケチがつくものです。だいたい、見えないって言われてしまうんです。

ですから、店舗開発担当としては、この視認性という言葉は、なるべく話題にならないようにするべきです。物件や店舗の写真をパッと見せて、相手に視認性が悪いという印象を残してしまったら、それを挽回するのは非常に難しくなると思った方がよいです。

どうしても得点化するとしたら、せいぜい3点満点でつけます。ずば抜けていい=3点、全然ダメ=1点。真ん中は2点と、3点満点で評価して、最終的に売上予測を微調整していくのが実用的かなという気がいたします。

弊社YouTubeチャンネルにミニ講義もアップしましたので、ぜひご覧ください。