八王子野猿街道店2の既存店分析

前回に続き、「ラーメン二郎」のお店をケースに、既存店分析の方法、物件の調査と売上予測をどう行っていくか、ということの実践編としてお話をしてみたいと思います。

今日は「ラーメン二郎 八王子野猿街道店 2」を取り上げます。また、「仙川店」「めじろ台店」と3店舗揃いましたので、このあたりで一段落として、店舗間の比較も行ってみたいと思います。

まずはいつもの通り、地図でデスクリサーチをしてみます。

野猿街道店2は、最寄り駅が京王堀之内という京王線の相模原線の駅です。この駅から歩くと、京王堀之内駅からは500m 以上離れています。

店舗の前は、おそらく車が多く通っている道路と考えられます。都市型ロードサイドの立地なのではないか、これは、めじろ台店と似ているな、ということが、地図の上から想像がつきます。

次に、jSTAT MAPを使って商圏を調べます。徒歩20分圏の地図を表示してみると、細い道路が入り組んでるようで、店舗の北側にはあまり広がっていないことがわかります。ですが、店前の通り沿いには広がって、横に広く広がっている様子が分かります。

次に、jSTAT MAPが作成してくれるリッチレポートを見てみます。すると、徒歩20分圏の人口が13,637人、世帯数が7,036世帯あることがわかります。この人口と世帯数がわかったら、人口を世帯数で割って一世帯当たりの人数を出してみるのがよくある方法です。すると、ここの世帯人員(一世帯あたりの平均人数)は1.94世帯だそうです。八王子市の平均が2.28人と表示されているので、一世帯当たりの人数がかなり低いということがわかります、このあたりは仙川店と似ていますね。

調査した3店舗を比較してみると?

ということで、3つの店舗をご紹介しましたので、店舗間の比較をしてみたいと思います。店舗数が少ない段階では、3店舗ぐらいある場合は、こういうふうに数字を並べて比較をするということがありますので、その一例としてご紹介します。すると、このようになります。

ラーメン二郎既存店3店舗の比較

野猿街道店2、めじろ台店、仙川店の順番で並んでいるんですけれども、この順番で人口は増えていく。店舗周辺の人口は、仙川が圧倒的に多いことがわかります。それと同じような傾向を示しているのが世帯数です。

こういった既存店のデータというのは、売上予測に用います。このような数字だけを見て、どこが売れているかということを考えたり、既存店の売上が分かる場合は、売上の大小関係との関連を見るということも行います。

そうすると面白いのは、野猿街道2店は、仙川と比べても、世帯人員が少ない店舗だということが分かります。周辺に一人暮らしの人が多い、ということが想像できるんですけれども、これはなぜかな?というふうに見てまいります。

先ほどの地図を見ると、野猿街道店2の背後に広がる商圏(後背地といいます)には、ある施設が複数あることがわかります。何かというと、大学です。中央大学、明星大学、帝京大学という大学があります。ですから、規模の比較的大きい大学と相性が良いのではないか、というような仮説が導き出されるわけです。

食欲旺盛な年代の人がいっぱい集まるところというところで、有利なのではないか?

このように「なんとかではないだろうか?」というものでいいのですが、こういうものを仮説と言います。こういう仮説をどんどん作っていくということも、売上を予測する上では重要な作業です。

デスクリサーチをしたら、現地調査(ゲンチョウ)に行きます。ロードサイドの色彩が強い店舗なので、今回は車で現調をしてみました。現調の様子は、こちらの動画でご覧いただけます。知らなければ、車で通るだけではまず気づかない場所ですが、ご一緒にお店を見つけてみてください。

以上、「ラーメン二郎」さんを題材に、既存店分析の実践というお話をさせていただきました。ご参考になれば幸いです。