多店舗化するチェーン店の高速出店は、成長過程におけるタイミングも重要
前回の続きです。当ブログは、ただ事例を事実として紹介するだけではなく、そこから何らかの仮説や知見を得ることを重視してきました。そのためには、何らかの視点・仮説を持ってから事例を見る必要があります。クイズの答えの前に、今回も少し考えてみたいと思います。
その企業の店舗展開に特徴的なことは、一号店出店後、チェーンとしての成長の“初期段階”から出店速度を速めていることでした。
高速出店、出店速度(スピード)については、明らかになっていないことが多いです。多店舗化、新規出店に関する知見が十分に体系化されていないことを考えると、出店の速度について言及されている書籍等はまだ存在しないと言ってもよいでしょう。そうだとすれば、ここで作ってみたいと思います。
かつて、新しい業態が高速出店、店舗網の急拡大した事例の一部を振り返ってみましょう。
- 当ブログで採り上げたものには、“東京チカラめし”がありました。
- 肉つながりになりますが“いきなりステーキ”、同社の“ペッパーランチ”も勢いのあった時がありました。
- 同じく飲食ですと、正確な年がちょっと不明なのですが、記憶では確か2003年ごろの“はなまるうどん”も、店舗数の対前年比が断トツ1位になったことがありました。
これらの事例に限ってみると、急拡大の最中には店舗に行列ができたり、マスコミなどにとり上げられたりしました。しかし、その後はとなると、あまり良いニュースを聞きませんでした。
これらの事例を研究すると、成長の初期段階で出店を高速化するのは得策ではないのではないか?という仮説が立てられます。
全国的に普及している、店舗数の多いチェーン店舗は、ある時期に出店が高速化する時期を経ている場合がかなり多いように思われます。(この点についてはいくつかの事例を別の機会にご紹介します。)そう考えると、高速出店には好ましいものと、好ましくないものあると考えることができます。
解説はこちらの動画でお話しましたので、ぜひご覧ください。
【高速出店とは①】出店計画立案に必須の「出店速度」の考え方
多店舗化するチェーン店の成長段階では、必ずと言っていいほど、年間出店数が急激に伸びる「高速出店」の時期が訪れます。多数チェーン企業の研究に基づき、その実態について言えること、中長期出店計画を立案する際に参考となる出店スピードの考え方についてお話します。
- 00:00 「高速出店」とは?中長期出店計画立案に必須の出店スピードの考え方
- 01:04 どのぐらいの速度なら「高速」出店か?高速出店の定義
- 03:15 中期目標(仮)が⑤年間で300店舗の場合、どう考えるか?計画の3パターン(例)~出店資金・人材計画・経営計画他への影響~
- 07:35 出店速度を決めるもの~会社がコントロールできるか?~
- 10:48 出店速度に関する2つの仮説