前回までは相性の良い企業・テナントについて考えてきました。今回は、競争企業・競合テナントについての考え方です。
競合の存在は自社売上に、得てしてマイナスの影響を与えるものです。ただ、競合はその範囲の考え方が人によって異なることが少なくありません。
競合の範囲を非常に広く、つまり、個人営業の店舗や利用者が代替的に選択する店舗かどうか定かではないものまで含めて考える人もいます。そのような意見は、競合関係がはっきりしていない業種・業態で増えるように思います。逆に、競合関係がはっきりしている業種・業態では、同じカテゴリーに入る直接的に競合する企業のみといった具合に、競合の範囲を狭く考える人が増えます。このあたりを考慮して、自社内でどこまでを競合に含めて考えるかを大まかに決めておく必要があります。
また、競合の存在は自社店舗の売上に一概にマイナスに影響すると考えてよいか?という問題があります。
同じ業種の店舗が周囲に全くない場合は絶対に安全なのでしょうか?
この場合、その業種への需要が全くない地域である可能性があります。コインランドリーを展開する会社の経営者の方から、“コインランドリーの場合、周囲にコインランドリーが全くない地域では、コインランドリーを利用するという習慣がないため、出店したとしても売上が厳しい”、という旨の話を伺ったことがあります。
需要そのものを増やすためにも、ある程度、競合ではなく“共存”企業も必要であるという考え方も必要、と言えそうです。
自身の経験では、コーヒーチェーンにおいて、広域繁華街の店舗の場合、休日の繁忙時間の売上が周辺の自社店舗と競合店舗の数と正の相関を示すことを確認したことがありました。つまり、広域繁華街では、周囲に競合店舗があった方が、休日の繁忙時間の売上が上がる傾向があったのです。
以上より、市場の大きさや曜日・時間帯によって、競合の影響の仕方は変わってくるということも考えに入れておく必要があります。
ここまでは競合の店舗数という、競合の“量”に関する側面についてでした。
しかし、それだけではなく、競合の“質”に関する側面も考慮するべきです。なぜなら、近くに競合店があるといっても、自社店舗の売上への影響がほとんどない場合もありえるためです。それはどのような場合でしょう?
続きは明日のブログで。