売上予測で考慮すべき他の要因について前回の続きです。自社の売上の高い店舗(あるいは低い店舗)の共通点を考える際に、自社店舗が何の近くにあるか?、自社店舗の近くに何があるか?という観点は有用です。

大規模なものでもよいですし、他の企業の店舗でも構いません。あるものが店舗の近くにあるかないかは誰が見ても変わらない内容なので積極的に予測に含めたいものです。ただ、近さは人によって異なることが考えられますから、同じ商業施設内とか、半径~m以内などの制限を設けることは必要かもしれません。

例えば、至近距離に駅がある店舗の売上が、ない店舗に比べると全体的に高くなるのであれば、駅は売上にプラスに作用すると考えられます。

ただし、駅の存在がマイナスに作用することもあり得ます。この点は、業種、業態、企業によって様々なケースが考えられます。駅近くは良い立地だと画一的に考えがちですが、駅近くが有利なこともあれば、逆に不利なこともありえます。先入観にとらわれずに自社店舗の売上との関係に忠実に考えてください。

その際に“顧客の移動行動”がどのようなものかを考えてみると良いように思います。

駅を例を出しましたので続けますが、駅で電車を降りた顧客が、帰途に就く途中で自社の店舗に立ち寄ることが期待できる場合は、駅の存在がプラスに寄与することが考えられます。しかし、それが考えられないような場合は、駅の存在がプラスになるとは考えにくいです。

駅や繁華街が安全という考え方は、全てに当てはあるものではありません。自社の店舗の顧客にとってふさわしい場所かを考える必要があります。

駅前の店舗なのに売れないのですが、なぜなのでしょう?という質問をお受けすることがありますが、お客様の利用シーンを考えれば大方はその原因が分かる、とお話ししています。外出先から一度帰宅して、着替える、必要なものを持参する、などしてから来店するような業種や店舗の場合は駅前は有利とは限りません。その必要がないなら駅前にあれば便利に感じる人が増えることが考えられます。

ここで、売上予測を考える際におススメしたいことがあります。

自宅、自社店舗、ある施設(この場合、駅)を3点とする三角形を描いてください。

自宅から出発して三角形をスムーズに描くように自宅に戻ってくる動きが自然な場合、その施設付近に店舗があると売上は高まることが期待できます。そうでない場合、例えば、移動パターンが自宅から自社店舗に行った後にすぐに自宅に戻るような場合、は、3点目にある施設の売上への影響は弱く、むしろ自宅からの距離や、店舗周辺の住宅(顧客の自宅)の存在の方が売上にプラスに寄与する可能性が高いのです。

この件についてはもう少し詳しくお話ししたいのですが、それは次回とさせていただきます。簡単な例を使って考えてみたいと思います。