前回の続きです。売上予測をする際には、最初に市場規模を考慮するというお話をしました。今日は、2番目・3番目…の“他の要因”を加味するときの考え方についてお話します。

市場規模が同じくらいで売上に差がある店舗がある場合の、店舗間の売上の差が生じる理由の考え方についてです。

この場合にご記憶いただきたいことは、“他の要因”を選ぶ際には、「市場規模に関連すると考えられる要因は考えてはいけない」ということです。

詳細は省略しますが、例えば、夜間人口と世帯数はかなり強く関連しあっているはずです。昼間人口と従業員数も関連が強いことが考えられます。周囲に百貨店が複数ある駅の乗降客数は小売業年間販売額とも関連が強いはずです。

このように、既に予測に用いた市場規模と関連すると考えられる数字は、“他の要因”に含めないようにしてください。同じような関連の仕方をする数字は2つもいらない、というくらいに考えてください。

これは、売上予測の際に、新たに“他の要因”を加味するときにも共通することですので、どうかご記憶ください。

さて、市場規模が同じくらいで売上に差がある店舗がある場合に、市場規模はほぼ同じなのですから、市場規模を表す数字ではないもので、市場規模を表す数字とは関連しない要因を考える必要があります。

「売場面積」は、市場規模と関連しているとは一概に言えず、また、データも社内にあり容易に入手可能であると考えられるため、これは含めるべきでしょう。

昔の経験を振り返った病院のケースで、市場規模を示すベッド数の次に加味したものは「病院の館(病棟)の数」であったように、市場の量ではなくて、市場の“質”を示す情報があれば含めたいところです。

また、「競争環境」に関しても、市場規模とは異なる観点なので、含めることが多いです。しかし、ここでは注意が必要で、競合店の数は市場規模と関連する可能性があります。自社と同じように考えるなら、市場規模の大きい市場には競争相手も多くなることが考えられます。

とはいうものの、直接競合しそうな店舗があれば、それを予測に組み入れたいというお気持ちも分かります。

更には、「自社の立地」や「物件構造」に関する事柄も売上に大きく影響することが多いので、こうした情報も加味したいところです。

次回以降は、こうした事柄を加味する際に便利な考え方をお伝えします。