前回の解説でお話しした、私が「館の数が多くなると売上が下がる傾向にある」ということに気づいたきっかけは何だったか?
それはかつて、大規模な病院にコーヒーチェーンが出店を競っていた時期のことでした。(もう10年以上も経っているので、書いても良いと思われます)。病院内店舗物件の売上予測案件を数多く抱えていた時期がありました。
さて、病院の“市場規模”は何で測ると思われますか?「この数字」が大きいとコーヒーが多く売れる、と考えられる、病院に関する数字です。
まず考えられるのは「患者数」です。厳密には、外来患者数です。これも考慮しましたが、時間とともに変化する数字なので、積極的に使いたくはない数字でした。そこで、患者数に関連しそうで、日ごとに変化しない数字ということで使用したのが「病床数(ベッド数)」でした。病床数が5,000程度あると特大の病院です。しかしながら、この数字と売上の関連が強くなくて、他の原因は何かを探る必要がありました。
そのようなわけで、一時期、全国の大病院を集中的に現地調査していたときがありました。が、たった一か所の病院の特徴を把握するために飛行機や新幹線に乗って出張するのは、体力的にしんどいだけでなく、良い結果が出なかったら・・・と考えると精神衛生上もよくありません。そこで最初に行ったのが、病床数が大きいが売れてる店舗とそうでない店舗の徹底比較でした。
ある病院でのこと。そこは売上が高くない店舗で、通りを挟んで2つの病棟があり、出店していない方の病棟に最初に入ってしまい、店舗を確認するのに苦労したことがありました。比較対象とした病院の店舗は売れており、病棟に入ってすぐの場所に店舗がありました。この違いは何かと考えていたところ、「病棟数が多い→売上が思わしくない」という関係が頭をよぎりました。その後、いくつかの病院の地図を確認することで、敷地の中に複数の病棟が立っている病院と、一つのビルに集中している病院があることが分かり、首都圏の病院だけで検証してみると、「病棟数が多い→売上が思わしくない」はいい得ていることが分かりました。全国的に検証してみても同じ傾向がみられました。
こうして、高い売上が期待できる病院の定義が質的に向上しました。
前回と今回の内容は、そのころの経験をもとに出来上がった考え方についてでした。病院の話には続編がありますが、それは売上予測再考の後の方でお話しさせていただきます。
次回のブログでは、売上予測のために日頃から癖をつけておくべきことをお話します。