出店戦略論【5】自治体レベルでの市場選定(1)三越伊勢丹が出店する自治体

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自治体レベルでの市場選定

前回の続きです。多店舗化する企業が出店に関して意思決定しなければならない要素には、

①総店舗数、②出店する市場の地理的範囲、③想定する個々の店舗の立地のバリエーション、④総店舗数の地域配分

があり、想定するストア・ブランドのイメージを軸に、それらを別個に考えるのではなく、同時並行に、システマティックに検討する必要があります。

今回からは、②「出店する地域市場の範囲」についてお話します。

これは、展開する「自治体レベルでの市場」をどのように選定するかを意味します。

個々の自治体の中で具体的にどこに出店するべきかについては、③想定する個々の店舗の立地のバリエーションで扱うとして、その前の段階で敢えて「自治体レベルの市場選定」の方針を決めておく必要があるのはなぜでしょう?

それは、はじめに物件ありきで、個々の物件の立地が良いというだけで場当たり的に新規出店を繰り返すことによる弊害を減らすためです。

ではその弊害とは何でしょう?

まず、チェーン企業としての成長段階の早い段階から店舗網が広域に分散してしまうことが挙げられます。

それに伴い物流・配送や店舗管理、広告宣伝などの費用対効率は悪化してしまいます(この点については後日、「ドミナント戦略とは?」という特集でお話させていただきます)。

また、出店する自治体の多様性が高まることにより、ブランドイメージが拡散してしまう恐れが生じます。

下の【表】は、三越伊勢丹ホールディングスが出店している都道府県・自治体と、店舗数を示しています。北は札幌、南は福岡まで全国的に店舗を配置していることが分かります。

百貨店が出店する自治体は市場規模も大きく、不特定多数の消費者を吸引する力を持っています。こうした自治体に限定して店舗を構えることである一定のイメージを保つことができるのです。

ただご注意いただきたいことは、百貨店のようなBig-boxタイプのリテーラーは、各自治体に1~2店舗を出店すれば十分なため、店舗数が32店舗しかないのにも関わらず表のような全国的な店舗展開が可能だということです。

一方、Mini-boxタイプのリテーラーは、各自治体に10店舗以上出店しなければならないこともあるため別のアプローチが必要です。そのあたりは、意思決定要素の④総店舗数の地域配分でお話しますが、ここでは店舗展開の優先順位が高い自治体にどのようなものがあるかをご確認ください。

ここでもやはりストア・ブランドのイメージが関わってくるのですが、どの自治体でも出店機会があれば出店するのではなく、成長段階に応じて展開するべき自治体を主体的に選択して広げていくべきなのです。

続きは明日のブログで。

【表】三越伊勢丹ホールディングスの店舗展開

都道府県市区町村店舗数
北海道札幌市中央区2
北海道函館市1
宮城県仙台市青葉区1
埼玉県さいたま市浦和区1
千葉県千葉市中央区1
千葉県松戸市1
東京都中央区2
東京都新宿区2
東京都渋谷区1
東京都豊島区1
東京都立川市1
東京都府中市1
東京都多摩市1
神奈川県相模原市南区1
新潟県新潟市中央区3
静岡県静岡市葵区1
愛知県名古屋市千種区1
愛知県名古屋市中区2
京都府京都市下京区1
広島県広島市中区1
香川県高松市1
愛媛県松山市1
福岡県福岡市中央区3
福岡県久留米市1

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