昨日まで、MPFSモデルとは?というお話をしてきました。では、なぜこのようなことを考え、“モデル”を作る必要があるのでしょうか?
何か目標を掲げるものの、目標達成が途中で頓挫してしまうことがあります。
その原因の多くは、目標を達成するまでの筋道がはっきりせず、どのように進んでよいかが分からないままに時間が経ってしまうことです。目標を立てた時と比べて環境が変わり、結局は目標を修正したり、白紙に戻したりせざるを得ず、当初の目的は達成できずに終わってしまうのです。そうならないためにあらかじめ必要なものが、目標達成までの方向性や筋道を示す“考え方のモデル”なのです。
さて、チェーン店が掲げる“目標”としてよく聞くのが、「店舗数1000店舗体制を目指す」といった話です。コメダ珈琲を展開するコメダホールディングスも最近そのような発表をしました(参考記事:リテールビジネス経営者に不足している情報・知見①|コメダHDの年初来安値更新を受けて)。また、今年3月に秋葉原に日本再参入一号店を開店した『カールスジュニア』米国幹部も、取材に次のように答えています。
日本ではフランチャイズ方式で展開していく方針で、加盟店については今後決めていく。時期は明言していないものの、将来的には1000店規模までの拡大を目標としている。同規模のチェーンとしては「スターバックス」や「サイゼリヤ」などが挙げられる。(出所:東洋経済オンライン)
では、ここで挙げられるような、日本市場においてよく成長目標のベンチマークとされる有名なリテールブランドと、その他ほとんどのリテールブランドとの間で圧倒的な差があるものは何でしょうか?
それは、ブランド認知度です。極端な場合、100対10くらいの差、つまりベンチマークとするのが無謀なほどの開き、があることもあります。
リテールブランドの運営において、ブランド認知度の把握は重要です。なぜなら、一般消費者は、“何屋だか知らない店(=認知していない店)”には入店しないためです。一般消費者は、リテーラーのブランド(屋号)をまず認知し、さらに、行動範囲内に店舗が存在することを知ることによって、実際に入店するのです。リテーラーが成長するためには、まずこの認知度を上げることが先決です。これが低ければ、新たなマーケットに進出したとしても、利用経験者の数も高まらず、高い売上は期待できません。実店舗への顧客の十分かつ継続的な来店も期待できません。また、そもそも店舗を開ける機会を十分に得ることも期待できません。
しかし、ブランド認知は一朝一夕には獲得できません。コストもかかります。「人気のチェーン店として一般消費者に認知されたブランド」といえるためには、どの程度のブランド認知度獲得を目指すべきなのでしょうか?
この問いに答えるためには、「では、既存リテールブランドの認知度の差は、実際のところどの程度のものなのか?」という情報が不可欠です。しかし、実のところ、そのような情報はほとんど存在しませんでした。
そこで、福徳社では、誰でも知っている老舗リテールブランド『マクドナルド』から、最新のリテールブランドで“話題のブランド”と報道されている新興リテールブランドまでの26ブランドをチョイスし、関東マーケットでの認知度を比較しました。
以下がその調査対象ブランドですが、MPFSモデルへの“当てはめ”の結果はどうなったと思われますか?
『リテールブランド浸透度調査2016』調査対象ブランド(全26ブランド)
● マクドナルド ● モスバーガー ● フレッシュネスバーガー ● ロッテリア ● バーガーキング ● ファーストキッチン ● ウェンディーズ ● クア・アイナ ● シェイク シャック ● カールスジュニア ● スターバックス コーヒー ● タリーズコーヒー ● コメダ珈琲店 ● 上島珈琲店 ● サンマルクカフェ ● コーヒービーン&ティーリーフ ● ブルーボトルコーヒー ● クリスピー・クリーム・ドーナツ ● ギャレット ポップコーン ショップス ● コールド・ストーン・クリーマリー ● パイフェイス ● タコベル ● イケア ● フライング タイガー コペンハーゲン ● ラッシュ ● ロクシタン
続きは明日のブログで。