市場分析・商圏分析の実践~ラーメン二郎を例に~

当ブログでは、タダでできる市場分析や商圏分析の方法を色々とご紹介してまいりましたが、それを使って実際に何かやってみましょう。ということで、ラーメン二郎さんのケースを取り上げたいと思います。「ラーメン二郎」を出店という観点から見るとどういう風になるか?というお話です。最近歳をとったせいか食べる量はかなり減りましたが、若い時分には、かなりお世話になったラーメン屋さんです。

ラーメン二郎の店舗網をみてみましょう。本店と呼ばれているお店が、東京都の港区三田にあります。現在は、41店舗もあるそうで、1都3県に32件、北は北海道の札幌から西は京都まで、出店範囲が拡大しているようです。「ようです」というのは、ラーメン二郎の店舗網すべての店舗が全てリストになっている情報がなかなか探すのが難しく、今回の情報源はこちらの宅麺ドットコムさんのページを参考にさせていただきました。

ラーメン二郎の店舗網を評価する

三田本店を中心にして首都圏で1都3県で店舗網をどう拡大しているのか、ということを確認してみたいと思います

チェーン店の店舗がどこにあるのか、ということを確認したいときに何をご紹介したかというと、店舗の住所情報を地図にプロットする方法をご紹介しました。これを見てみますと、本店のある三田を中心とした関東に32店、北は北海道の札幌・宮城県の仙台市・福島県、新潟県、西は京都にも展開しているということがわかります。非常に歴史が長くて、それに伴ってきちっとファンがついているラーメン屋さんですから、全国的に店舗網を展開するということを行ってもおかしくないと考えます。

日本全国になるとちょっと広くなってしまうので、まずは首都圏の店舗を地図上にプロットしてみます。すると、これは私も地図を作ってみるまで想像していなかったんですけども、三田本店を中心にちょっとずつ円を描いていきますと、同心円状に店舗が綺麗に散らばっているという印象を私は受けました。一つ一つのお店がどういう場所にあるかではなく、店舗網全体を、店舗網として見た時にどう見えるか、ということです。

この地図から想像できるラーメン二郎の出店戦略は、三田本店から放射状に拡大しているように見えます。同心円の中にある、店と店の間が同じような間隔・距離を置いて店舗を開けているのではないか、といういうことを私は感じました。言い換えると、一つ一つのお店の商圏を重ならせない、重複させないようにする、そういう配慮があるのではないかというふうに想像できます。

商圏を重複させながら、既存店のすぐ近くに店舗を置いて、店舗を広げていくチェーン店出店もあります。スーパーマーケットや、コンビニエンスストアなどの出店も、そういう側面があります。それに対して、ラーメン二郎は少し違うようです。利用するときの気持ちや、利用者の心境などを考えてもそうかもしれません。至近距離にお店があるからといって、繰り返し行くかというと、そういうところでもないような気がします。販売しているものの特徴なども加味して、商圏を重複させないように出店しているという風に見えるのが、このラーメン二郎の出店の状況から読み取れることです。

競合チェーン「豚山」の店舗網との比較

そんなラーメン二郎を意識していると思われるお店として、最近店舗網で猛追している「豚山」というラーメン店があるそうです。その会社の出店状況を、先ほどの地図に足してみます。いくつかのラーメンの業態を持たれている会社ですが、その内の1つの業態です。すると、ラーメン二郎とは展開の仕方が違うことがわかります。割と狭い地域に店舗数が密集するような出店をしています。こういう出店のしかたもあるあるんですね。

「豚山」は今20店あるようです。ラーメン二郎の半分です。店舗数は東京12店、神奈川が7店。狭い領域に店舗を集中させているのかと思うと、すでに大阪にも1店あります。ラーメン二郎は店舗と店舗の間の距離を開けていく、間隔を開けていくという出店だったんですけれども、この会社は、例えば東京都の大田区に2店、川崎市中原区に2店、大田区に2店など、割と至近距離に店舗を集中させている側面もあります。現時点では出店の方針があまりよくわからないな、という印象を受けます。この後どうなっていくのか、引き続きウォッチさせていただきたいと思います。

以上、店舗網の全体像について印象をお話しましたが、次回からは実際に、ラーメン二郎の店舗を例に既存店分析の方法を解説したいと思います。続きは次回のブログで。

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