営業部門から「このエリアにはあと何店舗、出せるのですか」と質問されたら?(その1)

前回(予告編)で申し忘れましたが、このシリーズは同一エリアに複数の店舗を出店したり、複数のエリアに店舗網を拡大したりしているような、ある程度の店舗数が既にある企業の店舗開発御担当者様、また、店舗営業部門で、複数の店舗を管理されるエリア・マネージャー、ディストリクト・マネージャーで、戦略立案も業務に含まれるご担当者様に向けてお話しさせていただくものです。予めご了承ください。

営業(オペレーション)部門からの質問対策シリーズ・第一回は、「このエリアにはあと何店舗、出せるのですか?」です。実際に私も企業で営業担当の方々から何回もこの質問を受け、答えを導く方法を試行錯誤して来ました。自然にこのシリーズの第一回のテーマに選んでいました。

多店舗化する企業では、ある地理的範囲に何店舗出店できるかが様々な場面で議論されます。

タイトルにある「エリア」という言葉はよく用いられる言葉ですが、明確な定義があるわけではありません。よってここでは「チェーン店が複数の店舗でカバーしようとする特定の地理的な範囲」という意味で用います。ただ、その特定の地理的な範囲は、担当者の社内での地位や議論する相手によって異なります。日本全体や都道府県、市区町村という広い範囲での議論がなされることもあれば、局地的なマーケット(例えば○○駅周辺など)での議論がなされることもあります。

この問題は奥が深く、とてもブログの中だけで説明を完了することが難しいのですが、考え方として2点をお話しします。

では、「あるエリアに何店舗出店できるか?」を考える際に、最初に決めるべきことは何だと思われますか?これが企業として定まっていないと答えられないものです。

日本には百貨店があるマーケットがあれば、全く無いマーケットもあります。同じ屋号の店舗が複数あるマーケットもあれば、一つしかなかったり、全くなかったりするマーケットもあります。また、コンビニエンスストアは、○○駅周辺などの局地的なマーケットに複数の店舗を出店しています。なぜ企業によってこのような出店方法に違いがあるのでしょう?

これは、日本国内の市場をカバーする方法が企業により異なるためです。

百貨店は鉄道のターミナル駅に大型の店舗を構えることで広域から集客することを試みます。一店舗で広域の商圏をカバーすることができます。

一方、利用時の利便性が強く求められるコンビニエンスストアは、百貨店のように大型店舗を構えて広域から集客することは困難であり、潜在顧客が物理的に存在する地域に複数の小型店舗を出店することで、そのカバーしようとします。

このように店舗が大型か、小型かで出店の方法は大きく異なるのです。

前者は英語で“Big-box retailer”(大型、大箱の店舗の意)と呼ばれており、マーケティングの教科書にも登場する用語です。郊外型のショッピングセンターやホームセンター、アウトレットなど、売場面積を大きくすることで広域から顧客を吸引するタイプの店舗です。

それに対して後者は、定義づける用語がないため、“Mini-box retailer”(小型、小箱の店舗の意)と名付けたいと思います。店舗を大型化することにより広域から顧客を吸引することが困難なため、集客を他の施設等に依存せざるを得ない、あるいは、狭い商圏を深掘りするように売上を形成する必要がある店舗です。(ちなみに、外食産業や教育産業などのサービス業で、小型店舗を多数出展することで市場をカバーしようとする企業は“Mini-box service retailer”と名付けられています。関心のある方は英文ですみませんが、私が書かせていただいた論文をご参照ください。)

そのうち、このブログで主に扱うのは後者のMini-boxの小売店舗の出店です。

こうしたチェーン企業が「あるエリアに何店舗出店できるか?」を考える際に、最初に決めるべきことは、全国で最終的に何店舗を出店するかという目標店舗数です。これにより出店するべきマーケットの範囲が大まかに決まります。

続きは明日のブログで。