クイズで読む『リテールブランド浸透度調査2016』結果速報(6)
『コーヒービーン&ティーリーフ』と『パイフェイス』の認知度が高まらない理由
福徳社では、2016年6月に『リテールブランド浸透度調査』を実施しました。日本で展開しているリテーラー(外食、物販)の関東圏での認知度と利用経験者の割合(以下、利用経験)に関する調査で、レポートは近日発表予定です。そこで、このシリーズでは、分析がまとまるまでの間、結果速報を兼ねて、手元の集計データから読み取れることをクイズ形式で書き綴っています。
前回の続きとして、ブランドそのものの認知度を高めるうえで、今後の追加出店の際にどのようなことを意識するべきかを考えてみたいと思います。
認知度の低い、『コーヒービーン&ティーリーフ』と『パイフェイス』の共通点は、初期段階からドミナント形成がまったく意識されていないということです。前回掲載した図1(再掲)ですが、これは言い換えると、経営する側は自社ブランドをチェーン店ブランドだと思っていたとしても、顧客の側はそのブランドをチェーンとしては認識していないことを意味します。
一度使ってみて「大したことがない」と思えば、それでそのブランドとの接点は終わってしまい、時間とともに忘れられてしまうのです。こうして、何店出店しても売上がなかなか上がらない状況に陥ってしまうのです。
認知度がある程度高い企業は、店舗数が『コーヒービーン&ティーリーフ』や『パイフェイス』に比べると多いことも原因として考えられますが、図2のような展開をしています。
消費者には日常的に移動する範囲である“生活圏”というものがあります。自宅から勤務先や通学先に通勤・通学する、買い物に出かける、遊びに出かけるなど際に高頻度で移動する範囲やルートがあると思います。こうした中に複数の店舗を配置することで、認知度が高まり、利用する機会も増加するのです。
最初のうちは調べて、遠いところわざわざ来店してくださった顧客が長いこと同じことを続けてくださることを期待するのは困難であり、こうした顧客を企業として維持するには、彼ら・彼女らにとってより利用しやすい場所に店舗を置き、立地の利便性を高める必要があります。
特別な日にしか行かないような施設にばかり店舗を出店した場合、こうした効果は期待できないのです。
また、生活圏に店舗が増えることにより、動きのある、生き生きしたブランドである認識を与えることができます。
こうした印象を与えるためにも比較的短い期間に、ある領域内に30~40店単位のまとまった数の店舗を開け、市場プレゼンスを高めつつ認知度を上げることが必要なのです。
逆にこれを怠った場合、自社のブランドは停滞し、活気のないブランドである認識を与えるだけでなく、何かのきっかけで他社のブランドが活気付くようなことがあると、急激に老朽化したイメージを持たれ、、最悪の場合は、いとも簡単に忘れ去られてしまうのです。