「カニバリゼーション」(通称カニバリ)って何?【その1】の続きです。

「カニバリ」について考える前に、大事な話を一つ。

店舗の売上はどう決まるのか?

店舗の売上は店舗ごとに異なりますが、それはなぜか?ということを考えてみましょう。

店舗の売上を規定する要因には、次のものが含まれます。

A.一度決まると・決めると、変えることが困難な要因
  • マーケット関連の要因:量・質・成長性、集客要素
  • 競合(自社・他社):店舗数、店舗の規模(面積・座席数)、立地の利便性
  • 物件の特性:立地の利便性、物件構造、レイアウト
B.短期的に変わる、ないしは、変えられる要因
  • その他:天候、商品力、オペレーションの能力など

店舗開発部門は、主に「A」に含まれる要因を店舗ごとに決定する部署です。

オペレーションスタッフ(店舗運営/営業部門)は、開業後の「B」の要因に対応したり、それらを管理しながら実際の売上高や利益額に責任を持つ部署です。

オペレーションスタッフは日々の売上の変化に敏感にならざるを得ないため、「B」の要因を中心に売上予測を考えてしまいがちです。しかし、売上の大部分は、実は「A」の要因で決まるのです。それらは、出店した後に思うように売上が伸びず、出店判断を誤ったと気づいたからといって修正が困難なものばかりです。

カニバリは、既存店舗の「A」の「競合(自社)」が変化することで、多くの場合、既存店の売上にマイナスに影響します。店舗の売上高や利益額に責任を持つオペレーション・スタッフが神経質になるのも無理はありません。しかし、あまりにもカニバリに神経質になりその出店機会を放棄してしまうと、その出店機会を直接的に競合する他社が奪ってしまうことも十分考えられます。それは「A」の「競合(他社)」が変化することを意味し、これも多くの場合、既存店の売上にマイナスに影響します。

カニバリは、客観的な方法で、具体的に何%落ちるというところまで予測がなされるべきものです。次に、その方法を述べたいと思います。

カニバリのパターン

具体的な数字を求める前に、カニバリの大きさをランク分けする方法をお話しします。

近くに新店が開いたら「ものすごく影響を受けそう」とか、「あまり無さそうだけどゼロではない」とか、直感的に思うことがありますよね。それをパターン化してみます。

単純化のため、ある市場に1店舗しかなく、2号店を出店した場合のカニバリを考える場合を考えます。

カニバリを考えるときに、チェックすべきことは次の点です。

  • その市場の市場規模(昼夜間人口、商業販売額など)
  • 2つの店舗のサイズ
  • 2つの店舗の立地

「カニバリゼーション」(通称カニバリ)って何?【その3】に続きます。