公式テキスト刊行記念コラム【1】立地判断の“かゆい地域”とその対処法~名古屋・大須編~

ある都市の中で、知っているようで実はよく知らない地域を“かゆい地域”と私は呼んでいます。なぜ“かゆい”かというと、自分自身で十分に商圏調査をしていなかった地域だったためです。それを克服する方法は簡単で、“市街地の場合は歩く、郊外なら運転する”です。その時間がかつて十分にとれなかった地域が名古屋にはあります。

(以下、夏休みシーズンということもあり、少し遊びがあっても許されるのではないかと思い、個人的な話も含まれますがお付き合いください。)

2006年頃のこと、かつて所属していたS社の中京地区の担当者がある物件を起案していました。そのエリアにおける局地的な立地は抜群だという担当者の意見は分かったのですが、判断に困るエリアで、十分な時間もなく、ロジックを作るのに苦労したことがありました。そのエリアとは、“大須”というエリアです。

昨日のブログでも触れた名古屋での会合に参加する中、奇しくも“大須”という地名を耳にし、名古屋中心部から徒歩35分程度で着くとのことで、名古屋中心部との位置関係を腹に落とし、なぜ当時、判断に困ったかについて答えを出そうと思い、朝の涼しいうち(実際は既に暑かったのですが)に歩いてみることにしました。

ここでいう「歩く」とは、刊行される店舗開発実務講座公式テキストにも記しましたが、“おおよその方角の検討をつけて、地図やスマホを見ずに歩く”ということです。

伏見の南方に地下鉄で1、2駅のあたりですから、遅くとも昼前には着くと思っていたのですが、これが辿り着かない。

さすがトヨタ自動車のおひざ元で、所により片側5車線の道路、更には頭上を通る高速道路が蛇行し、合間合間に鉄道、河川や橋もあり、交差点と交差点の間が歩いて数分かかるのが当たり前です。方向感覚も麻痺し、車通り、自転車通り、人通りの多い方へ歩いていくと、大須を目指していたのに辿り着いたのは、名鉄の山王駅です。山王とは、一時“ナゴヤ球場前”だった駅です。現地調査は失敗に終わりました。

駅からナゴヤ球場方面に非常に弱いのですが動線ができており、それはファームの試合があるということを意味します。予報通り暑い日のため大須は明日に回して早めの昼休みをとることにし、“ますだ”でドラゴンズ定食をいただき、新人根尾君の第3打席までを観て、歩かず名鉄を使って名古屋中心部に帰りました。

こうした目的地に辿り着かなかった失敗を、地図で確認することでかゆい地域はかゆくなくなります。暑くない日で時間に余裕があるときは、このような失敗をしてみるのも有意義なことだと思います。

なぜ2006年にS社で大須の物件でなぜ苦労したかについては、次回のブログで。おまけで、大須にある“台風”のような出店をしているチェーン企業もご紹介します。

店舗開発実務講座 公式テキスト内容

店舗開発実務講座テキスト●はじめに
第1章 「店舗開発という仕事」とは
1. 店舗開発部とは
【1】店舗開発部はどう認識されているか? 【2】店舗開発への誤解が生じる背景 【3】理論武装の必要性 ●コラム① 店舗開発以外の経験は店舗開発部で活かせるか?
2. 店舗開発の業務フロー
【1】一般的な業務フローの例 【2】業務フローの難所 ①物件情報の入手 【3】業務フローの難所 ②売上予測 【4】業務フローの難所 ③社内承認
3. 店舗開発活動の効率化に向けて
【1】効率化に向けて必要なこと 【2】多店舗化が進まない企業の傾向 ●コラム② 売上予測のあるべき姿 ●(ケーススタディ)1号店開店からわずか2年で撤退
第2章 物件開発 (1店舗を開けるまで)
1. 物件情報を集め始める前に
【1】着任した初日から何をすべきか? 【2】既存店分析の進め方
2. 物件評価の考え方
【1】立地のタイプ 【2】店舗の売上を左右する要因 ●コラム③ 大型商業施設の分類
3. 物件評価で使う用語解説
【1】商圏 【2】TG(Traffic Generator) 【3】動線 【4】GISシステム(地理情報システム) 【5】通行量・交通量調査 【6】現地調査
4. 物件情報の収集
【1】路面店舗の場合 【2】施設内店舗の場合 【3】物件情報収集の際の心構え ●コラム④ 物件情報の流通について ●コラム⑤ 適切な立地の取捨選択における「2つのエラー」
5. 物件調査と社内提案
【1】物件調査を行うにあたっての心構え 【2】物件調査の手順 【3】デスクリサーチの目的(仮説構築)と方法 【4】現地調査の目的(情報収集+仮説検証)と方法 【5】情報のストーリー化 【6】プレゼンテーションの際の心構え ●コラム⑥ 効率的な仮説構築の方法 ●コラム⑦ 間口の長さを測る方法 ●コラム⑧ 2分間プレゼンのススメ
第3章 出店戦略・店舗網最適化戦略
1. 戦略立案のフレームワーク
【1】複雑な問題 【2】具体的な業務課題
2. 出店戦略
【1】出店戦略の目的 【2】総店舗数の求め方 【3】総店舗数の地域配分 【4】出店戦略の6類型 【5】出店戦略のエリア戦略へのリンク ●コラム⑨ 地域性に応じたSC店舗開発の留意点
3. 店舗網最適化戦略
【1】店舗網最適化に向けた考え方 【2】店舗網の現状分析(健康診断)の方法
4. エリア戦略
【1】エリア戦略とは 【2】エリア戦略の目的 【3】エリア戦略がないとどうなるか? 【4】エリア戦略の立て方 【5】エリア戦略における店舗利益率の考え方 【6】エリア戦略における店舗の役割の考え方 【7】エリアにおける店舗の最適配置の考え方 【8】カニバリ(自社競合)の考え方 ●コラム⑩ 戦略とは? ●コラム⑪ エリア戦略に役立つ顧客アンケート調査のすすめ ●コラム⑫ “エリア・エイジ”を思いついたきっかけは? ●コラム⑬エリア・レポート作成のすすめ
5. 市場計画(マーケット・プラン)の立て方
【1】市場計画を立てる手順 【2】新規出店に伴う既存店カニバリの折り込み方
6. 出店戦略7つの根拠「なぜ、今、そこに?」
第4章 エクセルを用いた売上予測
1. チェーン企業の新店の売上予測とは?
【1】売上予測に説得力をつけるには? 【2】売上予測モデルとは
2. 売上予測のための既存店分析の方法
【1】データベースの作成方法 【2】既存店売上データの見方 【3】データの収集と分析の方法
3. 売上予測モデルの作り方
【1】単回帰分析 【2】重回帰分析 【3】変数 【4】新規物件への適用方法と使用上の注意
● さいごに
● 用語解説
● 付録 大型SCの坪効率ランキング(トップ150)

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