消費者行動調査から読み解く首都圏商業施設の近未来~専門店テナント企業は今後、新規出店の案件をどう判断するべきか?~(2016年3月講演録)

千葉市中心市街地で起こっていること

講演録【7】からの続き)千葉市の話をします。ここは、千葉市の中心市街地です。千葉市の中心市街地といえば最近何が起こったかといいますと、パルコが閉店しました。また、三越が閉店予定となっています。駅がここです。駅の根元にそごうがきちっと張り付いています。いま駅ビルの開発も頑張ろうとしています。そういうことが起こっている中で、千葉駅はここの百貨店が2店営業を停止しています。

千葉駅周辺

これ赤い線の太さは、人の流れの太さのようなものを表します。駅から人が流れ出るということで駅の周辺は手堅く、だんだんそこから離れるにつれて人の数は減っていくのですが、まだ私が千葉のこのあたりにも店舗を開ける仕事をしていた頃は、千葉の富士見という地区なのですが、この辺りは1店は開けられるかなり厚いマーケットだと言われていて、人が大勢歩いていたんです。駅から流れたお客さんが結構この辺まで歩いていました。

千葉県内の商業施設開発の推移

千葉の周辺というのはどういうことが起こっていたか?これは、千葉県内のショッピングセンターの面積の推移です。先ほど全国的に見て右肩上がりになっていた、というものの千葉県版なのですが、やはり1990年以降、階段がどんどん上がって行くように上がって行きました。大型の施設が千葉県内でも開発が進んでいったことがわかります。

千葉県内のSC合計面積の推移

【図】千葉県内のSC合計面積の推移(単位㎡)

さらに、こちらが人口の推移です。オレンジ色が商業施設の面積の推移です。人口が減少に転じている中で施設の面積はどんどん増えています。大丈夫なのかな?という話で言えば、こういうグラフを見てもお分かり頂けると思いますが、大丈夫ではないんだろうなと思います。

千葉県の人口とSC面積推移

【図】千葉県の人口とSC面積推移

千葉県でショッピングセンターがどのように増えていったかを見てみましょう。これは1960年代、千葉の中心の百貨店しかなかった時代です。

千葉県の新規開業SC(1960年代)

【図】千葉県の新規開業SC(1960年代)

1970年代はこんな感じです。

千葉県の新規開業SC(1970年代)

【図】千葉県の新規開業SC(1970年代)

1980年代、90年代、2000年代と、こんな感じで、60年代にはここしかなかったものがどんどんこういうところにも出ていきました。

千葉県の新規開業SC(1980年代)

【図】千葉県の新規開業SC(1980年代)

千葉県の新規開業SC(1990年代)

【図】千葉県の新規開業SC(1990年代)

千葉県の新規開業SC(2000年代)

【図】千葉県の新規開業SC(2000年代)

千葉県の新規開業SC(2010年代)

【図】千葉県の新規開業SC(2010年代)

中心市街地からどんどん買い物の場が郊外にシフトしていきました。そういうことが起こっているのが千葉の中心部です。

千葉市中心市街地

2000年の前半はこの太さで人が歩いていたんですが、買い物する人が郊外にシフトしてしまったり、あるいは千葉で買い物している人の高齢化が進み、あまり歩かなくなったことの影響で、今は線の太さがこのぐらいになっているのではないかと考えられます。千葉市の駅の中心だから安全というわけではなく、手堅いところが1・2・3だとすると、1→2→3となるにつれて弱くなっていき、この線はだんだん細くなっていきます。人は分散していきますし、来る人の数も減ります。そうすると、この順番で小売業、サービス業はやりづらくなっていきます。かつてのターミナル駅といわれているところでさえ、こういうちょっと離れたところでは商売がやりづらくなってきているという減少が、もう首都圏の千葉県まできているというのが現状だと思います。閉店するのが千葉パルコ、三越であるのは、偶然ではないのではないか、という気がします。

以上、いろいろとお話してきましたが、このあたりでいったんまとめてみたいと思います。続きは次回講義録【9】で。