消費者行動調査から読み解く首都圏商業施設の近未来~専門店テナント企業は今後、新規出店の案件をどう判断するべきか?~(2016年3月講演録)

近年の環境変化と新たな課題

  • 新たな競合(駅ビル)→SC過剰・紋切り型→高い併用率→開業後間もなく“日常使い”→ちぐはぐなテナントミックス→それでも新たな開発は進む

近年の環境変化と新たな課題講演録【6】からの続き)ここまで、これまでの立地選定から商業施設開発の推移、新たな競合が出現、の推移を見てきました。商業施設の開発は進むが、中に入っているテナントの種類がそれほど変わっておらず、紋切り型になっています。消費者は広域を移動するようになって、あちこちの商業施設を併用しています。でも、その併用状態はずっと続くわけではなく、使われないところは使われなくなります。商業施設はすぐ日常使いになり、施設周辺の足元商圏の人たちに使われるところに変わって行きます。テナントは入れ替わりが激しく、非常にチグハグなテナントミックスの施設が多くなっています。それでも新たな商業施設開発が進んでいます。

これからの立地選定の考え方
  • 今後は“大型商業施設自体の淘汰が進む”可能性が高いと言われている。
    • 大型商業施設そのものを主体的に選択する姿勢が求められる。
    • 誰に、何を提供するのかが明確でない施設は先行きが危うい。
    • 商業+「?」

最後に、これからの立地選定の考え方という話をしたいと思います。これからなのですが、商業施設が過剰になって、「大型商業施設自体の淘汰が進む可能性が高い」と言われています。ショッピングセンター協会の機関紙の覆面座談会でそういうことをおっしゃっている方がいらっしゃいました。

そうすると、今後新しく開く商業施設や、テナントの入れ替えで入ろうとするテナント企業の方々は、大型商業施設そのものを主体的に選択する姿勢が求められるのではないかと思います。大きいからといって広域から継続的に集客することを期待する、ということができなくなっています。誰にとっての何を提供する施設かが明確になっていない商業施設というのは結構先行きが危ういという考え方を持ってもいいのではないかと思います。

商業プラス「何か」が必要。「何か」とは何か?日本で初上陸のテナントを導入する、そういうことをやりますよね。でも他の商業施設もそれをやります。そうすると、どこも同じような店舗じゃないか、となってしまいます。そうすると、次の「何か」が求められる。商業施設といえども、何かプラスアルファを乗っけていかないと選ばれません。そのプラスαとは何か?

やはり、その施設そのものが利用しやすいかどうかという点ではないでしょうか。先ほどの武蔵小杉の例でも説明させていただきましたが、立地の利便性のようなものです。出店する商業施設を選ぶ際に、商業施設そのものの利便性というものもよく把握する必要があるのではないでしょうか。

これからの立地選定の考え方これまでは、郊外の山の中でも畑の中でも、面積が大きければ集客できました。なぜかというと、他にないからです。山の中はさすがに危ないにしても、インターチェンジの近くだったら良いのではないか、という考え方の出店もあります。しかしながら、自動車離れですとか、少子高齢化ですとか、消費者は高速道路や鉄道を使って色々なところに行くようになっているであるとか、駅が頑張っている、といったことを考えていきますと、ショッピングセンターがドーンと単独であるというものではなく、「誰が来るか」ということがはっきりしている、商業だけではなくて、住宅や職場、そう行ったものが一体となっているところが手堅いのではないかと考えらます。

さらに最近は、鉄道の駅です。ターミナル駅と言われるところの隣に商業施設ができたりもしています。例えば『ラゾーナ川崎』ですとか、高崎も駅のすぐ近くにこうした商業施設がつきます。周りに住宅も立っています。あるいは首都圏を超えてしまいますが、岡山県の岡山市というのは、駅の横に西日本最大級のイオンが建っています。こういう風に、大型商業施設自体がこういうところにまで入って来るようになっています。この図のように、1・2・3・4というイメージで4ランク持っておかれると、だんだん手堅くなって行くと考えられます。というわけで、1・2が「これまで」だったのですが、3・4が「これから」です。大型商業施設が駅の隣にボーンと建つようなことが起こってしまっている。テナントが安定的な売上を記録しているところを見て行くと、こう行った条件が揃っているところが今後は手堅い、ということができそうです。

イメージしていただくために、もう少し具体的なケースとして、千葉市の状況を見てみましょう。続きは講演録【8】で。