商圏の広がり:『ダイバーシティ東京』利用経験者、1都3県にむらなく広がる

「調査結果報告」シリーズでは、(株)福徳社の独自リサーチ『商業施設利用実態調査2015』レポートから、分析担当者が注目したデータをピックアップしてお届けします。

大型商業施設にテナントとして入居する場合、どの程度広域から利用者が来店しているのか、商業施設の商圏の広がりが気になるところではないでしょうか。

大型商業施設では、開業当初の話題作りに成功し、グランドオープンをめがけた顧客が殺到し、その長い行列や混雑する店内の様子がメディアを通じて大々的に報道されることも少なくありません。初日からしばらくの間は、遠方からわざわざ来る利用者も少なくないでしょう。しかし、そうした大型商業施設の、開業後しばらく経った後の集客状況については、十分な検証がされていません。

そこで、『商業施設利用実態調査』(2014年6月中旬・2015年6月中旬実施)では、1都3県の消費者に対し、開業時に話題性が高かったと(株)福徳社が判断した11の商業施設(キラリナ京王吉祥寺イケア立川イオンモール幕張新都心マークイズみなとみらい酒々井プレミアムアウトレットモールKITTE三井アウトレットパーク木更津ダイバーシティ東京渋谷ヒカリエ東京ソラマチ東京スカイツリータウンビックロ)について、開業後1年以上が経過した現状における利用者像を比較分析しました。

そこでは、各施設の商圏を把握するため、利用経験者数と被験者の都道府県レベルの住所データのクロス集計を行いました。

特定の都県にどの程度集中しているかを把握するためには、ハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)を用いました。HHIが2000台と相対的に低い施設は、ターミナル機能のあるエリアに立地する施設が多く、広域からむらなく集客している様子がうかがえます。その他は商圏が商業施設の足元に集中する度合が高まる傾向にあるといえます。

さて、注目のランキングは?

調査対象11商業施設のうち、HHIが最も低く、広域から集客しているといえるのは、『ダイバーシティ東京』でした。

次にHHIが低かったのは、『東京ソラマチ東京スカイツリータウン』でした。

いずれも観光地的性格があり、遠くてもわざわざ行く利用者を開業後も継続して集客したといえるでしょう。レポートでは、開業直後の利用者がリピートしたかどうか、なども分析しています。

次回の「調査結果報告」では、商圏の広がりの分析結果の続きをお届けします。上記の11施設のうち、商圏が比較的狭く、利用者が足元に集中する度合が高い施設はどれだと思われますか?