上場企業で特定の地理的市場に出店を集中している企業として、“フライングガーデン(本社:栃木県小山市)”をとり上げます(フライングタイガーとは関係ありません)。フライングガーデン社については、「爆弾ハンバーグ フライングガーデン」のホームページをご覧ください。

同社の沿革によると、発祥は群馬県で、同県に1984年8月に一号店が開店。その後、1986年4月に栃木県、1999年4月に茨城県、2000年4月に埼玉県、2004年6月に千葉県に出店先の都道府県を拡大したとあります。

下の表は同社の都道府県別の店舗数の推移を示しています。

千葉県以降は新たな都道府県への市場拡大を行っておらず、新規の出店も少なくとも最近の約7年間は行っておらず、会社四季報2015年夏号によれば不採算店舗を閉鎖しているとのことで、茨城県の2店舗と千葉県の1店舗が閉鎖されたものと思われます。

(株)フライングガーデン 2008年12月 2012年3月 2015年8月
店舗数 67 67 64
集中度 2225 2225 2276
出店済み都道府県数 5 5 5
北海道 0 0.0 0 0.0 0 0.0
青森 0 0.0 0 0.0 0 0.0
岩手 0 0.0 0 0.0 0 0.0
宮城 0 0.0 0 0.0 0 0.0
秋田 0 0.0 0 0.0 0 0.0
山形 0 0.0 0 0.0 0 0.0
福島 0 0.0 0 0.0 0 0.0
茨城 15 22.4 15 22.4 13 20.3
栃木 16 23.9 16 23.9 16 25.0
群馬 11 16.4 11 16.4 11 17.2
埼玉 19 28.4 19 28.4 19 29.7
千葉 6 9.0 6 9.0 5 7.8
東京 0 0.0 0 0.0 0 0.0
神奈川 0 0.0 0 0.0 0 0.0
新潟 0 0.0 0 0.0 0 0.0
富山 0 0.0 0 0.0 0 0.0
石川 0 0.0 0 0.0 0 0.0
福井 0 0.0 0 0.0 0 0.0
山梨 0 0.0 0 0.0 0 0.0
長野 0 0.0 0 0.0 0 0.0
岐阜 0 0.0 0 0.0 0 0.0
静岡 0 0.0 0 0.0 0 0.0
愛知 0 0.0 0 0.0 0 0.0
三重 0 0.0 0 0.0 0 0.0
滋賀 0 0.0 0 0.0 0 0.0
京都 0 0.0 0 0.0 0 0.0
大阪 0 0.0 0 0.0 0 0.0
兵庫 0 0.0 0 0.0 0 0.0
奈良 0 0.0 0 0.0 0 0.0
和歌山 0 0.0 0 0.0 0 0.0
鳥取 0 0.0 0 0.0 0 0.0
島根 0 0.0 0 0.0 0 0.0
岡山 0 0.0 0 0.0 0 0.0
広島 0 0.0 0 0.0 0 0.0
山口 0 0.0 0 0.0 0 0.0
徳島 0 0.0 0 0.0 0 0.0
香川 0 0.0 0 0.0 0 0.0
愛媛 0 0.0 0 0.0 0 0.0
高知 0 0.0 0 0.0 0 0.0
福岡 0 0.0 0 0.0 0 0.0
佐賀 0 0.0 0 0.0 0 0.0
長崎 0 0.0 0 0.0 0 0.0
熊本 0 0.0 0 0.0 0 0.0
大分 0 0.0 0 0.0 0 0.0
宮崎 0 0.0 0 0.0 0 0.0
鹿児島 0 0.0 0 0.0 0 0.0
沖縄 0 0.0 0 0.0 0 0.0

さて、チェーン企業のドミナントの度合いを客観的に表現できて、企業間で比較できるようなものは無いかということで、表に「集中度」という数字を含めました。

フライングガーデンはその「集中度」の数値を2012年から2015年にかけて51ポイント上昇させています。これは何を意味するか?

この数字は“ハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)”というものを援用したものです。もともとは、ある産業で特定の企業に市場シェアがどれだけ集中しているかを表す指標で、その産業に属する企業の市場シェア(%)を二乗したものの和と定義されます。

例えばある産業に2社が参入しており、市場シェアがA社70%、B社30%の場合のHHIは、

70×70+30×30 = 4900 +900 = 5800

です。

ではHHIの最大値はいくつでしょう?最大値は1社独占の状態です。つまり100×100 = 10000です。

これを、チェーン企業が都道府県ごとに店舗数をどの程度集中させているかを測ることに用いています。

ある全ての店舗をある都道府県1つに集中した場合の集中度は10000です。よってこの集中度の数字は10000に近ければ近いほど、特定の都道府県への店舗数の集中度が高いことを表しています。

フライングガーデンはこの3年間で集中度を高めたということを意味します。

この数字を高いとみるべきか低いとみるべきかについては、他の企業の数字と比較するなどして判断するしかありません。

という訳で、ここで【ドミナント戦略を考える】を一度終わりにして、次回より出店戦略論を再開したいと思います。

可能でしたら皆さんもご自分の会社の“集中度”を計算してみてください。