消費者調査『商業施設利用実態調査2016』の結果より、首都圏の新しい商業施設に「定着した顧客」が利用経験者に占める割合が高かった順に並べてみましょう。
分析のフレームワークとしてRFM分析を部分的に用いました。RFM分析とは、自社の優良顧客をリーセンシー(Recency)、フリークエンシー(Frequency)、マネタリー(Monetary)という観点で定量的に識別するマーケティング手法です。リーセンシーとは「直近で利用したのはいつか」、フリークエンシーとは「利用頻度」、そしてマネタリーとは「いくら支払ったか」、をそれぞれ表します。本リサーチでは、このうちフリークエンシーとリーセンシーに今後の利用意向を加味し、それぞれの大型商業施設が顧客の日常的な購買行動に定着しているか否かを定量的に分析しました。
リーセンシーもフリークエンシーも高い利用者、言い換えれば、その商業施設の顧客として「定着した顧客」を、それぞれの調査対象施設の利用経験者の中で、①3回以上の利用経験がある、②直近3ヶ月以内にも利用経験がある、③今後の利用意向が高い*、の3つの条件を全て満たす人と定義し、各施設の利用経験者に占める割合(=顧客定着率)を高い順に示します。(*「今後利用したい」「やや利用したい」と回答した)
『商業施設利用実態調査2016』調査対象商業施設(開業日順)
● 三井アウトレットパーク木更津 ● ダイバーシティ東京 プラザ ● 渋谷ヒカリエ ● 東京ソラマチ東京スカイツリータウン ● ビックロ ● KITTE ● 酒々井プレミアム・アウトレット ● MARK IS みなとみらい ● イオンモール幕張新都心 ● イケア立川 ● ららテラス武蔵小杉 ● キラリナ京王吉祥寺 ● 大宮ラクーン ● イオンモール木更津 ● グランツリー武蔵小杉 ● 原宿ALTA ● ららぽーと富士見 ● 二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケット ● コクーンシティ ● ららぽーと海老名 ● 渋谷モディ ● ららぽーと立川立飛
(調査年: ●2014/2015/2016 ●2015/2016 ●2016)
新しい大型商業施設では、開業当初の話題作りに成功し、グランドオープンをめがけた顧客が殺到し、その長い行列や混雑する店内の様子がメディアを通じて大々的に報道されることも少なくありません。しかし、そうした大型商業施設が、開業後のいわゆる「オープン景気」が一巡した後に、どの程度利用者とのリレーションシップを構築できているか、利用者の日常的な購買行動の中に定着しているかについては、十分な検証がなされていません。
そこで本リサーチでは、その商業施設に「行ったことがある」人のうち、現状で何割が優良顧客として定着しているのか?を調べました。
顧客定着率は、『コクーンシティ』の33.8%から『東京ソラマチ東京スカイツリータウン』の8.4%まで、大きな開きがありました。
『東京ソラマチ東京スカイツリータウン』は、顧客ボリュームは増えていますが、顧客定着率は昨年よりも下がりました。観光地的な意味合いも強い場所なので仕方ないのかもしれませんが、集客努力による利用者数の増加に、定着する顧客の比率が伴っていないようです。
開業1周年を迎えたばかりの『コクーンシティ』は、リーセンシー、フリークエンシー、顧客定着率のいずれも調査対象商業施設中最も高く、なおかつ顧客ボリュームも確保できており、利用経験者の量と高い優良顧客比率の両方を獲得するという偉業を達成しています。
新しい首都圏大型商業施設の「顧客定着率」ランキング2016【1都3県】
『商業施設利用実態調査2016』調査対象商業施設~顧客定着率が高かった順~
<全調査対象施設平均を上回る>
- 【1位】コクーンシティ
- 【2位】キラリナ京王吉祥寺
- 【3位】大宮ラクーン
- 【4位】二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケット
- 【5位】ららぽーと富士見
- 【6位】ららぽーと海老名
- 【7位】渋谷モディ
- 【8位】ビックロ
- 【9位】ららぽーと立川立飛
- 【10位】ららテラス武蔵小杉
- 【11位】イオンモール木更津
<全調査対象平均を下回る>
- 【12位】グランツリー武蔵小杉
- 【13位】酒々井プレミアム・アウトレット
- 【14位】MARK IS みなとみらい
- 【15位】KITTE
- 【16位】イオンモール幕張新都心
- 【17位】イケア立川
- 【18位】原宿ALTA
- 【19位】渋谷ヒカリエ
- 【20位】三井アウトレットパーク木更津
- 【21位】ダイバーシティ東京 プラザ
- 【22位】東京ソラマチ東京スカイツリータウン
以上です。ご自身のイメージと比べて、いかがでしたか?
もう少し顧客の定着度について見ていきましょう。続きは明後日のブログで。