前回のクイズの解説です。商業施設の売り場面積が類似しているのに、テナントとして出店している自社の2店舗の売上に大きな差があったのはなぜか?

いくつかの原因が考えられるのですが、ここでは市場規模の量的な側面だけでなく、質的な側面にも注意をしていただきたかったため、大型商業施設そのものの性質に関するものを正解とさせていただきます。

正解は、「大型商業施設の館の数」です。

売場面積が同じでも、館が一つの建物にまとまっている場合と、複数の館に分かれている場合では、売場面積の意味合いが異なります。その商業施設の館が一つの場合は、売場の一か所への集積度が高いため、そこに出店する店舗の売上は高くなることが期待できます。それに対して、その商業施設の館が複数ある場合は、売場が分散しており、そこに出店する店舗の集客力もばらけてしまい、売上も低くなってしまいます。

「増床」や「新館オープン」とは、売り場面積が増加すると同時に、館が分化することも意味します。売上予測の際には、館の分化はマイナス要因と考えた方が無難といえます。

では、こうした館の分化の情況をどう売上予測に反映させるか、についてです。

ある要因を売上予測に反映させるには、その要因を何らかの数字、誰が数えても同じ客観的な数字、で表すことが必要です。

分化の情況を数字で表すには、フロアガイドなどで館がどう分かれているか、さらには、館の数を確認してみてください。A館、B館、C館と分かれていたら3つです。6号館まであれば6つです。

ちなみに、その次はというと、その数字と売上の関連を考えます。この場合、館の数が大きくなればなるほど、出店した場合の店舗の売上は低くなる、と考えられますよね?これを「仮説」といいます。そして、この仮説が正しいかを検証するために、統計分析(回帰分析、重回帰分析など)を使います。

今回のクイズの正解の他の例としては、「大型商業施設自体の立地」、「競争環境」なども考えられますが、これらの点については今後に回したいと思います。

私が、この「館の数が多くなると売上が下がる傾向にある」ということに気づいたきっかけは何だったか?という裏話は、次回のブログでお話します。