前回まで売上予測について再考してきましたが、いよいよ“物件・立地評価”に関する内容に入ります。

いよいよと申しましたのは、このシリーズも大詰めに近づいているためです。

が、その前に“物件・立地評価”は売上予測の上で重要なので、そちらの方を早く話すべきなのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんので、ここまで市場の量や質、売場面積、競合店舗に関する要因の順に述べてきた訳をお話ししたいと思います。これはセミナー等でも強調していることです。

その訳を端的に申しますと「“物件・立地”から説明するのは2つの意味での危険があるため」です。

1つは、自社の店舗の売上予測をする際に把握すべき“売上が決まる仕組みに関するストーリー”が作れないという危険です。もう1つは、将来、新規物件について会社に提案する際に、その物件の予測売上がその金額になるであろう理由に関するストーリーが作れない、さらには、そのため会議で新規物件の出店承認が得られなくなるという危険です。

ストーリーとは“説明の流れ”のようなものです。心地よいメロディーのような流れが何事にも求められ、それは物件の売上予測についても同様です。流れがある説明は聴いていてスッと頭に入ってきますし、説得力があるものです。

逆に、流れのない場当たり的な説明は、頼りなく聴こえ、聴く人に不安感を与えるものです。不安感を持つと承認は得ることはできないはずです。

そうならないためにも、新規物件の売上予測では、“自社店舗の売上がどのように決まるか?”、言い換えれば、“売上にる関連する要因にどのような事柄があり、それらについて、どのような値が揃うと売上がいくらくらいになる傾向にある”という説明が最初になされるべきです。それに続く新規物件の売上予測では、その傾向に照らし合わせてみて、関連する要因に関する新規物件の値がどのような意味を持つかについて、網羅的に、優れている点と残念ながら劣っている点を、バランスよく誠実に説明しながら最終的な予測金額が示されるべきです。

こうした流れを作るうえで、市場の量や質、売場面積、競合店舗に関する要因について説明したのちに“物件・立地”の説明をするのは有効なのです。

逆に、“物件・立地からは入る物件説明は危険”なのです。

以前、それに強烈に気づかされたある“プレゼン”がありました。“こんなプレゼンは即刻アウト”という話は、次回のブログで。