高速出店のその後シリーズ① “東京チカラめし”の歴史(2012年~2016年)
新規出店のスピードが速かった最近の例として、前回とりあげた『はなまるうどん』の他に思い浮かぶのは『東京チカラめし』です。
今から4年ほど前にはビジネス番組でもとり上げられ、繁華街を歩くたびに妙にあちこちに店舗が増えている印象を受けたことを覚えていますが、愛知県の居酒屋チェーンが路面店を積極展開、ということで、大丈夫なのか?と思った記憶があります。そして、ある時期から急に閉店が続き、最近では気にもならなくなってしまいました。
そのような『東京チカラめし』の高速出店の“その後”を振り返り、記憶に留めておくことは有意義なことではないかと考えたので、調べてみました。以下の内容は、主に株式会社三光マーケティングフーズ(証券コード:2762)の有価証券報告書によります。
2012年度はやはり勢いがありました。
“「日常食業態の開発と積極展開」として「焼き牛丼」を提供する「東京チカラめし」の一号店をオープンしたのは平成23年6月で同事業年度は87店舗を出店。迅速な意思決定を行うための組織改革も行っており、居酒屋業態に加えて「東京チカラめし」を中心とした日常食業態を積極的に展開し、新たな収益構造を確立していく”、とあります。
2013年は一部店舗の閉店が始まりました。
(東京チカラめしは)“積極的な出店を行い多様な立地への出店も行う一方で、ロードサイドや関西エリアを中心に60店舗出店いたした一方、効率化に向けた店舗集約のため、18店舗の閉店を行いました。QSCの改善を含め、量の拡大に遅れを取らないように、質的な側面においても強化を図った”、とあります。
2014年はグループ会社に譲渡されてしまいました。
“平成23年6月に1号店を出店した東京チカラめしは、これまで積極的に店舗展開してまいりましたが、米国産牛肉等の主要食材の高騰、コンビニエンスストア等、業種を越えた企業間競争の激化、雇用環境の変化に伴う人員不足、さらには平成26年4月の消費税増税による収益力の低下が見込まれること等から、昨年より、既存店舗群の全面的見直しを行い、店舗再編を実施してまいりました。しかしながら、経営環境と当業態の将来性を考え、居酒屋業態への経営資源の集中が必要と判断し、当業態においては、大幅に縮小せざるを得ないものと決定いたしました。そのため、平成26年6月2日付で、会社分割により当業態の一部店舗を新設会社である株式会社チカラめしに承継させたうえで、同日付で同社の全株式を株式会社マック、そのグループ会社の株式会社ユウシンおよびマイビス株式会社に譲渡いたしました”、とあります。
2015年は原点に帰り“育成期”に逆戻りしました。
“「楽釜製麺所」「東京チカラめし」の日常食業態におきましては、当年度は「育成期」として位置づけ、(中略)「東京チカラめし」では、原点である「焼き」にこだわり、高付加価値の商品を充実させた店舗への転換を行ってまいりました”、とあります。
2016年は『東京チカラめし』の記載そのものが消えてしまいました。
要は、『東京チカラめし』はうまくいかなかったのですが、その原因は、2014年の有価証券報告書に記載にされている“米国産牛肉等の主要食材の高騰、コンビニエンスストア等、業種を越えた企業間競争の激化、雇用環境の変化に伴う人員不足、さらには平成26年4月の消費税増税”だけなのでしょうか?
続きは明日のブログで。