前回とりあげた、一ヶ月で店舗数を250%増加させた『カムデンズ ブルー スター ドーナツ』にちなんで、新規出店のスピードが速すぎるとどうなるか?ということを考えてみたいと思います。

かつて、一年間の店舗数の成長率が凄まじく高かった例として私が記憶しているのは、今から10年以上前になりますが、讃岐うどんの『はなまるうどん』です。日経MJの2003年度飲食業調査で売上高伸び率は断トツトップの700%台ということで、大変驚いたことを今でも覚えています。

日経MJによる第30回飲食業調査(2003年度)の店舗売上高ランキングで、はなまるうどんは伸び率726.7%で2位の91.3%を大きく引き離して、外食産業界のトップとなったことが報じられた。(2004.5.13 日経MJより)出所:はなまるニュース

しかしその後どうなったかといえば、急成長を維持するどころか、店舗数は約200店舗をピークに伸びず、不採算店舗が増え、それらの撤退のために吉野家の傘下に入ることになりました。

企業としての収益性を維持しながら新規出店を続け、店舗網を拡大させていくというのはそう簡単ではない、ということを、『はなまるうどん』のケースは物語っています。

出店機会があるところにホイホイ出店すれば、企業は“順調に”成長するという訳ではないのです。

出店を店内の戦略要素と独立して考えてしまい、家を借りる感覚で借りられるところへ出店してしまい、宜しくない事態に陥るケースは他にもあります。先程も触れた日経MJの日本の飲食業調査で売上高伸び率が高かった企業をいくつか振り返ってみてください。急成長の後には何かが起こるようです。

次回のブログでは、新規出店のスピードが速かった最近のもう一つの例として、『東京チカラめし』のケースをとりあげます。