昨日の続きです。店舗数を急増させ、急成長を図る際に、“人員”が量的にも質的にも追いつかないケースはよくあることです。そう急速にスタッフの技術や能力は育ちませんし、本部スタッフによる店舗のオペレーション管理も、短期間に出店数が大幅に増えれば、1店舗に割くことが可能な時間や労力は減り、全店舗で均質のサービスを維持することも難しくなります。この点は、先日触れた『はなまるうどん』ほか、急成長を遂げた多くの企業に共通することと言って良いと思われます。

しかし、不振に陥った原因はそれだけだったのでしょうか?『東京チカラめし』の出店(立地選定)の方法という側面を考えてみたいと思います。

下に掲載した表は、閉店・開店さんから集めた『東京チカラめし』の閉店店舗リストです。最終的に100店舗以上閉めた店舗のうちの88店舗分と、全てを網羅できているわけではない点はご注意ください。さて、この一覧をご覧になってどのようなことを思われますか?

愛知県の居酒屋チェーンが首都圏にこれだけの数の店舗を開業すること自体は、主体的に規模の大きい市場を選択し、そこに経営資源を集中させるという意味で、ポジティブに捉えることができそうです。

しかし、ここで、ある地方都市の外食チェーンの社長が東京に進出した際に、「東京の賃料が高さは想像以上であり苦労している」と仰っていると、某ディベロッパーの社員から聞いたことを思い出しました。それを踏まえると、『東京チカラめし』だけで相当額の賃料が発生していることは容易に想像がつきます。それに対して店舗売上が思うように上がらなければ、企業レベルでの収益低下も避けられないでしょう。

多少立地が劣っても、東京は人が多いから・・・といった理由で展開してはいなかっただろうか?、話題性のあるときには客が並んだとしても、その状態を維持するような立地に出店ができていたのだろうか?、といった視点で閉店店舗の住所を見てみると、どのようなことが読み取れるでしょう?

少し考えてみてください。続きは明日のブログで。

東京チカラめし閉店リスト