昨日の続きです。2000年以降、それまでマクドナルドが得意としてきた立地以外の“新たな立地”が質量ともに存在感を増したのですが、それはどのような立地だったのでしょうか。
2000年以降、容積率が緩和されたこと等により、都市部で新たな開発・再開発事業が急増し、それにより駅ビルや大規模オフィスビルなどが次々に開業しました。これは、それまでマクドナルドが得意としてきた立地とは毛色がことなる立地でした。
こうした施設は、エリアの動線や人の張り付きを変える威力があり、かつて、そのエリアで路面店として一等地だった立地が、そうした環境の変化によって、二等、三等の立地になってしまうこともありました。
スターバックスコーヒーは、日本に定着したリテールブランドの最近の成功例として紹介されることもしばしばですが、その主な要因は、こうした都市部再開発の波にうまく乗ったことだったと言えます。
リテーラーが一国の市場に定着するには、商品力だけでは不十分であり、それを利用する機会を、物理的に十分な数の店舗を通じて消費者に提供することが不可欠です。
逆に、マクドナルドはこうした流れにうまく乗れなかったと見ることができます。2000年以前の出店方法が通用する郊外の新たな大型ショッピングセンターなどの商業施設には出店できたものの、それに固執したため、また更には、その時期に会社がリテーラー発想からメーカー発想の経営に変わったため、都市部での新たな立地を開発する事業者やディベロッパーとの関係構築が、会社として十分にできていなかったのではないか、という推測も成り立ちます。
また、同時期に急成長した新興コーヒーチェーンにより、収益源であるコーヒーと出店機会を同時に奪われたことは大きな痛手だったと考えられます。
以上で、マクドナルド全盛期の出店を振り返りながら、その後の不振の理由に切り込む本シリーズはひとまず終わりです。日本マクドナルドの出店については、引き続き、分析を続けたいと思います。また何か新たな発見がありましたら、ご報告します。