1月14日(土)の日本経済新聞に『鳥貴族』【証券コード:3193】の出店計画に関する記事がありました。

2021年までに店舗数を倍増の1060にするというもので、(市場規模の大きい)関東や東海で店舗数を2~5倍にするという具体的かつ大胆な内容のものでした。

現在の日本の人口の地理的な分布を考えると、『鳥貴族』のような関西地盤の企業が日本国内で1,000店超えをして全国区のブランドとして定着しようとする場合、相当な数の店舗数を“関東”で稼がなければならないのですが、それを実践される勢いを感じた記事でした。

1月16日(月)の同社のホームページを確認したところ、店舗数は515店舗でした。地域別の内訳は関東(一都三県)が245店舗、東海が42店舗、関西が228店舗となっています。仮に記事の出店計画が達成された場合(つまり関東を2倍、東海を5倍にして、総店舗数を1060店舗とした場合)の地域別内訳は、関東(一都三県)が490店舗超、東海が210店舗超となり、差し引くと関西が360店舗となります。

ここで2021年の日本の人口の分布を現在と同じと仮定し(現実にはありえませんが)、“1店舗あたりの支持人口”を考えてみたいと思います。この数字は、小さくなればなるほど“身近にある店舗”という印象が高まるものです。ちなみにこの数字が1店舗あたり一億人を超えるのは『東京ディズニーシー』や『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』です。逆に、例えばコンビニエンスストアなどは、地域によっては、1店舗あたり数千人という場合もあると思われます。

『鳥貴族』の地盤の関西ではこの値は低く、地盤でない市場では高くなることが予想されますが、実際はどうでしょう?

計算すると、“1店舗あたりの支持人口”は、関東は3,447万9千人に対して490店なので「約7.0万人」、東海は1,315万4千人に対して210店なので「約6.3万人」、関西は1,985万7千人に対して360店舗なので約5.5万人となります。中期目標としてみると、よく考えられた数字に見えます。

仮に、関西並に出店する場合、関東と東海は何店舗になるでしょう?この数字は、それぞれの人口を関西の“1店舗あたりの支持人口”である5.5で割ることで求まります。

結果は、関東は627店舗、東海は239店舗で、関東は現在の2.6倍、東海は5.7倍に理論上はなります。それを踏まえると、鳥貴族の出店スピードは東海は速く、それに対して関東はゆっくり目であることが読み取れます。

出店計画の仕事を長くやっていると、こうした出店の記事を見るとついついこのようなことをシミュレーションしてしまうのですが、今回はその一部をお話させていただきました。

次回は、『鳥貴族』の2021年までの出店計画が達成された場合の、首都圏の消費者の目から見た日常生活への定着度をイメージしてみたいと思います。続きは次回のブログで。