大型商業施設「隣接」が意味すること
早いもので、東京スカイツリーが開業してから3年が経過しました。
東京スカイツリーが出来れば多くの来場客が押し寄せ、周辺の商店街にもお客さんが流れてくると期待していた人も多かったようです。しかし、残念ながら実際はそうはならなかったようです。なぜでしょう?
今日はいきなり答えです。
商店街に人が“流れない”のは、人を“流さない”力が働いているためです。
東京スカイツリーは東武グループの東武タワースカイツリー株式会社が運営しており、東武鉄道の「とうきょうスカイツリー駅」と直結しています。
また東京メトロの「押上駅」とも地下で直結しているため、来場客やオフィスの従業員の多くはいずれかの駅を経由して来場します。
東武グループの企業としては、駅から来場したお客さんの観光、買い物、飲食等の一連の行動が東京スカイツリー内で完結し、帰りも鉄道を利用していただきたいと考えるはずで、折角の売上の機会を周辺の商店街に与えようとは考えないはずです。浅草方面から歩いて来場する人もいないことは無いと思いますが、東武鉄道が浅草から出ておりちゃんと布石が打たれています。人を“流さない”力が働いているため、商店街に商店街に人が“流れない”のです。
これは東京スカイツリーに限ったことではありません。駅に直結する大型商業施設が出来た場合、それにより駅周辺を含めた街全体が潤うということは期待できないと思っていた方が良いでしょう。多くの人々は施設に吸引され、囲い込まれて出てこないのです。仮に出てきたとしても用事はもう済んでしまっているのです。
周辺の商店街に人を呼ぶためには、商店街の末端に何か集客力のある別の施設を作り、2つの施設の間に動線を形成するくらいのスケールで方策を考える必要があります。
次回は、今回の記事が書かれるきっかけ・教訓となったお話しです。
ある集客力抜群の施設に隣接する施設の物件評価で大失敗したエピソードで、舞台は関西です。続きはこちら集客力抜群のユニバーサル・スタジオ・ジャパンと東京スカイツリーに隣接する物件に出店すべきか?【その1】で。