前回、「開成教育グループ」(成学社)の出店戦略が、2011年に東京都への展開を開始したのを境に、“単一ドミナント戦略”から“主体的拡大戦略”に変化したことを見てきました。

また、2015年には徳島県、香川県でも教室展開を開始した結果、2015年11月時点で教室数と出店済都府県数がともに増加した一方で、集中度は4245であり、戦略を変化させた後も依然として高い値を示していることをご説明しました。

サービス企業の出店に関しては、出店地域の拡大や店舗数の増加といった側面で評価されることが多いように思われます。関西の企業が東京に進出した、あるいは、四国へも市場を拡大している、という事実だけを聞くと、その企業は勢いがある、伸びているといった積極的な印象を与えるように報道等もなされます。

しかし、店舗網の地理的な範囲と店舗数の観点だけではサービス企業の出店戦略を評価するには不十分なのです。

開成教育グループについて気がかりな点は、東京都への展開後も特定の都道府県への店舗数の集中度が依然として高い水準にあることです。これは、新たに開校する教室数の地域配分が、従来の関西市場に偏りすぎていることを意味します。

言い換えると、新たに進出した東京都への追加的に出店する教室数が不十分であることを意味します。ホームページの教室案内によれば2015年11月時点で、東京都内の教室数はわずか15しかありません。

東京と大阪の市場規模の違いを考えますと、展開を開始してから約4年間で東京都に15教室しか開業していないのは、店舗網を通じた市場対応の方法として問題があります。

表と図1、図2は、2011年以降の開成教育グループの売上高と売上高に対する経常利益の比率を示しています。売上高はこの3年間は伸び率が鈍化しているものの上昇していますが、経常利益率は2011年以降低下の一途を辿っています。

開成教育グループの売上経常利益推移

開成教育グループの売上高推移

 

開成教育グループの経常利益率推移

出店状況とこうした企業業績を関連させると、どのようなことが言えそうか考えてみたいと思います。

続きは明日のブログで。