学習塾・予備校チェーンの「開成教育グループ」(成学社)は、2011年に東京都に展開して以降、企業全体の売上高の伸び率が鈍化傾向にあること、売上高に占める経常利益率が下降傾向にあることを前回は確認しました。

こうした状況がなぜ生じているかを、出店方法と関連させて考えてみたいと思います。

但し、ここで一つ注意しなければならないことがあります。

それは“ある経営課題の原因を一つの事柄に起因させることは難しい”ということです。

ある企業の売上高の伸びが鈍化し、経常利益率が下降傾向にある理由を、ある一つの事柄が原因で説明できるとは限らないということです。むじろ経営課題の背後では複数の要因が相互に作用していると考えた方が良いのです。

「問題の原因は〇○にある」というように、原因を一つの事柄に起因させて結論付けようとする人がいますが、事はそう単純ではありません。その一つの事柄を解消したら問題は解決するかというと、必ずしもそうはならないのではないでしょうか?

開成教育グループは、同社のIR情報などによれば、教育事業での多店舗化とそれに伴う地理的市場拡大、教育事業内での多業態化、教育事業以外への多角化などを並行して進めていることが分かります。よって企業業績の変化の原因を一つの事柄のみですべて説明しようとするのは非常に困難なことなのです。

しかし、その原因を考える上で“新たな視点”を加えることは意義のあることだと思われます。

そこで当ブログでは、“出店方法”に焦点を置いて企業業績の変化の原因を考えることを試み、開成教育グループの経営課題に関する“仮説”を提案したいと思います。その仮説とは次のようなことです。

  1. 東京都に進出したは良いものの、①学生数が想定通りに伸びず、また、②東京の高い賃料や人件費、③東京進出に伴い追加的に発生する教室の管理費等のコスト増、などが重なることで、東京都というエリアの収益が想定を下回っており、それにより経営マインドが委縮している。
  2. 委縮した経営マインドにより、東京都への追加出店ではなく、未出店エリア(香川県、徳島県)への市場拡大が進められているが、それに伴い追加的に発生する教室の管理費等のコストが増加している。

続きは明後日のブログで。