「TG」とはどういう意味か?

当ブログでは、店舗開発の仕事上よく使われる言葉で、専門用語と呼ぶにふさわしい、様々な言葉を取り上げて解説しています。今日は、「TG(ティージー)」とは?という話です。

TGとはもともと、ずいぶん前からマクドナルドさんが使っていた言葉ですが、元となる英語の言葉があり、その頭文字を取っています。

それは、「トラフィックジェネレーター(Traffic Generator)」です。

「トラフィック」というのは、交通とか通行の意味です。「ジェネレーター」というのは、何か派生するとか、作り出すとか、そういう意味があります。この”Traffic Generator”の頭文字を取って、TGと呼ばれるようになりました。

TGとは、人や自動車の流れを発生させる大型の施設です。言い換えると、自力で集客する力がある施設、とも言えます。そこを目がけて人や自動車が集まってくるような、力のある施設のことを指します。得てしてサイズが大型のものが多いです。

それに対して、小型の店舗を多店舗化する会社というのは、自力で集客する力がそれほど大きくありませんので、集客をこのTGというものに依存することが多いのです。

TGの例は?

ですから、TGにはさまざまなものが考えられますが、いくつかの代表例をご紹介したいと思います。

交通関係のTGの例としては、鉄道の駅やバス停、空港、船の港、高速道路のインターチェンジやサービスエリアなどが挙げられます。こういったものは、人や自動車を集める力があります。

商業のTGは、買物目的で人が集まるところ、車が集まるところ。例えば大型のショッピングセンターや、駅ビル、百貨店などです。人工的に開発された商業集積や、自然に発生した商店街の一部も、TGとなり得ます。

仕事をするために人が集まるTGを考えると、オフィスビルですとか、オフィス以外のものも含んでいる複合ビルがあります。大規模な工場などもTGとなり得ます。

住んでいる人が多い高層マンションや団地のようなものも、TGとして考えることができます。

さらに、観光、余暇、公共、その他の目的で人が集まるところもTGとなりえます。

観光で人が集まるところというと、観光名所、あるいは寺社仏閣。観光に関連して、大規模なホテルのようなものもTGと捉えることができます

余暇に利用するものとして、文化・スポーツ系、図書館、美術館、スポーツ施設といったものもTGと考えることができます

公共的なものでは、市役所や県庁といったお役所、それから規模の大きい病院や学校なども、TGと考えることができます。

さらに最近では、物流センターや、道の駅なども、だいぶ普及してきました。こういった新しいタイプのTGというのも出てきています。

こういった具合に、TGになり得るものには、様々なものがあります。要するに人や自動車を自然に集める力がある大型の施設なので、そのような力がある様々なものがなり得るわけです。

自社店舗のTGになるもの、ならないもの

すると、よくこういう質問を受けます。〇〇という施設があるとして、

「〇〇はTGになりますか?」

「〇〇は自社のTGになり得ますか?」

これはどのように考えるべきでしょうか?

何かしらのTGがあります。自社の店舗があります。そしてお店の利用客がいらっしゃいます。この3つの要素を考えた時に、利用客がそのTGに行き、そこから自社の店舗に来店する、この関連性が強い。あるいは自社の店舗に来た後に、そのTGに向かっていく。この矢印が成り立つのであれば、そのTGは、自分の会社のTGになると考えることができます。この矢印が太ければ太いほど、強い関連のあるTGである、自分の会社にとってのTGである、と言えるわけです。

逆に、利用客がそのTGに行くんですが、自社の店舗にはそこからあまり来ない。あるいは、利用客が自社の店舗に来て、その後そのTGに行くということはほとんどない。自社の店舗と一緒に利用されない、併用されない。こういうものは、TGとはなりにくい、ならないと考えるべきです。

例えば、小学校は自社のTGになるだろうか?ということを考えてみます。

小学生が小学校に行きます。小学生が、小学校に行ったついでにどこか寄るところがあるかというと、普通、小学生はまっすぐ家に帰ります。と考えますと、小学校というのは、多くの店舗にとっては直接的なTGにはならないのではないでしょうか。ですから、小学校の横に積極的にお店を開けている会社があるかというと、ほとんどないのではないかと思います。多くの会社にとっては、小学校というのは、直接的なTGにはなりにくい、と考えられます。

しかしながら、小学校と隣り合って出店している企業が全くないかというと、そういうわけでもないんです。小学生以外にも、保護者がいますよね。小学生は小学校に通いますが、小学生の保護者が、学用品や学習関連のもの、要は、学校で必要なものを急いで買いに行く必要がある場合があります。そのような用途で使われる店舗の場合は、商圏内に小学校があると有利と考えることができます。ですから、こういう場合は、小学校がTGとなり得るわけです。

自社店舗に有利なTGの見つけ方

ということで、TGには様々なものがありますが、自分の会社にとって有利なTGというものは何なのか?ということを考える必要があります。

具体的な問いかけとしては、自社の店舗のうち、売上の高い店舗の商圏内に共通して存在するTGは何か?を考えてみていただきたいんです。

自社のお客様が来店直前にいた場所ですとか、退店された直後に行く場はどういったところなのかを調べる。あるいは、客層を観察する。こういったようなことをしながら、関連性の高いTGは何か?を考えていくことが必要です。

これが、最終的には、売れる店舗の条件を明確化したり、売上予測の精度を上げていくということにもつながっていきます。

TGというものには、様々な種類があります。自分の会社にとって、商圏内にあると良いTGは何か?という観点で、売上の高い店舗の商圏内にある、共通するTGをぜひ探してみてください。

弊社YouTubeチャンネルにミニ講義もアップしましたので、ぜひご覧ください。