以前、「なんでうちの会社は〇〇(ブランド名)みたいに、良い場所に店が出せないんだ?」…という発言を会議で社長がしている会社があったことを思い出しますが、それに関して、まだお話ししていない重要な話がありました。
“安全と水と情報はタダ”という言葉がありますが、ここで注目するのは“情報”です。これにお金を払うことの価値が会社として分かっているか否かが、好立地への出店に成功するかどうかを分ける、というお話です。
好立地の物件情報というのはネット上や巷の不動産業者の間で流通していません。現況で営業中であったり、新たな施設の開発案件で立地がまだ存在しないことがほとんどであるためです。
しかし、公開されていない情報を把握している人や会社はあります。好立地に出店している会社は、こうした人や会社から情報をいただいて、めでたく契約に至ることで出店が可能になることが多いのです。
この間、先方との契約を仲立ちしてくれたことに対して、不動産仲介業者に手数料を支払うことはご存知の方も多いと思います。
が、契約前の段階での情報提供についてはタダ(無料)であるべきなのか、という点を考える必要があります。
また、商業施設との契約の場合、路面店等と違って不動産業者が仲介することは原則的にないので、仲介手数料というものは発生しません(例外がありますが、それについては別の機会にお話しします)。
しかし、何らかの情報提供があったために出店できたと考えると、そこには何らかのフィーが生じてしかりなのです。
フィーを支払う会社と支払わない会社があれば、情報は当然前者へ行きます。
このフィーのことを、関係者の間では『企画料』と言います。月額賃料の何か月分という数え方をします。ですから同じ『企画料』を支払う場合でも、1ヶ月分と2ヶ月分だったら、2か月分支払う会社に物件情報は先に行くと考えるべきなのです。好立地になればなるほどこの数は上がるものです。
あるベテランの開発マンによれば、「『企画料』と聞いて、“情報提供だけになんで金がかかるんだ?だったら結構”、と情報を無下に扱ってしまう会社の場合、まず良い所に店は開かない」そうです。
ちなみに、駅前一等地に必ずと言ってよいほど出店している、坪効率の非常に良い、ある飲食の業態がありますが、そこはなんと仲介手数料以外に『企画料』を10か月分平気で払うそうです。駅から1本、2本と通りを奥に行くと売上が急降下することを考えると、一等地を抑えるための出費は甘んじるべき、と考えているそうです。
以上、払うべきか、払わぬべきか、それが問題だ、というお話でした。