前回までの記事をお読みいただければ、単純に物件の前を通る人や車の量が多ければ良いわけではなく、その質や動線の意味合いも同時に検討しなければならないことがお分かり頂けたかと思います。
出店の立地判断においては、確認・検討する項目がずいぶんたくさんあるのだなあ、という印象を持たれるかもしれません。実は、これからもどんどん検討項目が増えるのですが、その前に、なぜそれほど検討項目があるのかをお話しさせてください。
新規出店・開業には多大な投資が伴います。また、開業後の売上も、売上予測を立てることはできますが、実際にオープンしてみなければ正確な数字は分かりません。つまり、リスクの大きい活動なのです。よって、楽観的な憶測や勢いで意思決定するべきものではないのです。検討項目が多いのはそのためです。
新規出店・開業の判断の際には、そこで開業した場合に商売が失敗する確率は100%と考えます。
えっ?と思われるかもしれませんがご安心ください。続きがあります。
その失敗の確率100%を、これまで説明してきたような、更にはこれから説明される様々な検討項目を確認することで下げていき、その確率が十分に下がった場合に、成功する可能性が高いと判断するべきなのです。
では、十分に下がったというのは何%くらいでしょう?
それは経営判断によるものですが、最大で10%、気持ちの上では1%を目指したいものの、それはきついので、5%といったところです。
大事なことは、「失敗確率を0%にはできない」ということです。失敗する確率が0%ということは、100%成功するということですよね?将来のことは人間には絶対に分かりません。よって、失敗確率を0%にはできませんが、限りなくそれに近づけるよう努力はするべきなのです。
ちなみに、以上の話は、統計学の仮説検定という考え方に依拠しています。