演習問題「動線の見方」(問題)

コンビニやカフェなどを開業しようとする場合、物件Aと物件Bをどう評価しますか?考えてみてください。

【問題1】物件Aの立地判断

物件Aは、駅と高層オフィスビルを結ぶ動線上にあり、高層オフィスビルで勤務する大勢の勤め人が、そのビルに向かって平日の毎朝通勤のために通過している。

【問題2】物件Bの立地判断

物件Bは、駅と駅から500メートルほど離れたところにある百貨店の間を結ぶアーケード沿いにあり、ちょうど駅と百貨店の中間に位置する。物件前の通行量は県内でもトップクラスである。

演習問題の解説:【問題1】の考え方

駅と高層オフィスビルを結ぶ動線上にある物件A。平日は毎朝、高層オフィスビルで勤務する大勢の勤め人が通勤のために物件Aの直前を通過しています。午前8:30-8:40には物件前を、駅からオフィスビル方面へ450人弱が通過しています。平均的な始業時刻の9:00前には通行量はさらに増えそうな勢いです。

これだけを見ると、通行の量・質ともに安全な立地のように思えますが、それだけで判断してはいけません。

通行人のほとんどが勤め人ということで、勤め人の気持ちになって考えてみましょう。彼ら、彼女らの駅からオフィスに向かって歩くときの心境はどのようなものですか?

多くの人は早くオフィスに着きたいという気持ちが強いはずです。途中の信号につかまり遅刻しないかとやきもきするよりも、より早くオフィス近くに着きたいと考えるため、歩く速さは普通よりも速くなりがちです。読者の皆さんはいかがですか?

そう考えると、物件Aの前は、通行量が多いからといって、来店する人が出現する確率も高くなるとは限らないのです。いくら人がたくさん通っていても、店舗を利用しようとする気持ちがない人が大半では、商売上は意味がありません。

このように、人が目的地へ向かって単に通過するだけの意味を持つ動線があるのです。

さて、9:00以降の物件Aの前はどなるでしょう?

通勤時間が終わり通行量は激減することが予想されます。外回りの勤め人が行ったり来たりの状態が午前中続いて昼時を迎えます。

高層オフィスビルで勤務する人が、昼休みに物件Aの店舗に戻ってくることを期待するのは困難です。昼休み時間は限られていますから、行動半径は短くなるはずです。高層ビルの場合、勤め人はエレベーターで地上へ降りるのも一苦労です。また、勤務中は通勤に使う駅の方向にはなんとなく行きたくないものです。

昼休みが終わり、再び外回りの勤め人が行ったり来たりの状態が夕方まで続きます。

退社時間になり、物件Aの前は、朝とは逆方向に駅へ帰路を急ぐ勤め人がいそいそと通過していきます。

そして夜、ぱったりと人通りは途絶えます。

この場合、通過動線上にある物件Aよりもむしろ高層オフィスビル付近に出店機会を待つ方が良いと考えるべきなのです。

演習問題の解説:【問題2】の考え方

駅と駅から500メートルほど離れたところにある百貨店の間を結ぶアーケード沿いで、ちょうど駅と百貨店の中間に位置する物件B。物件前の通行量は県内でもトップクラスで、広いアーケードを計測困難なくらいの大勢の人が断続的に行き来しています。通行量は申し分なく、買い物客が多く含まれ質的にもまったく問題なしです。これはまたと無い出店機会だ、…と普通は考えますよね。

確かにこの情報だけから判断すると、そのような考えも成り立ちます。

しかし、動線の意味は何だと考えられますか?

人が物件Bの前を通過するのはなぜでしょう。大型の百貨店を結ぶアーケードなので、そのアーケードを通過する理由の多くは百貨店にあると考えるべきでしょう。

アーケード沿いには通行客の入店を期待する店舗が軒を並べていますが、通行客はそれらの店舗を目がけてきているのではありません。仮に誰かがある店舗を目がけてアーケードを歩いているとしても、人通りや密集する店舗の多さで、目当ての店舗を探すことは容易でないことが予想されます。

そう考えると、物件Bの前は、通行量が多いからといって、来店する人が出現する確率も高くなるとは限らないのです。いくら人がたくさん通っていても、店舗を利用しようとする気持ちがない人が大半では商売上は意味がありません。やはり、商業施設のある商業地でも、このように人が目的地へ向かって通過する意味合いの強い動線があるのです。

高い賃料に対して、実際の売上が、開店前に高めに設定した予測金額を下回る状態が続き、退店を余儀なくされることも十分に考えられます。この場合、目的地周辺の、買い物客が移動ではなく滞留する地域周辺の出店機会を積極的に探索するべきなのかもしれません。

物件Bのような物件について出店を判断する場合には、以前に入居していた業種と閉店の理由をよく確認する必要があります。物件構造上の問題(物件構造の見方については、後日改めて説明します)もあるのかもしれません。なぜ、こんなに良い立地が空いてしまったのだろう、とまずは自問するべきでしょう。

 

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