前回の続きです。立地を選定する際に、集客力のある施設に近接しているか、動線に乗っているかを確認することはもちろん重要ですが、それだけでは十分とは言えません。本当にその店舗が利用客にとって行きやすい場所であるかを考える必要があります。

考え方は簡単で、利用客に視点で考えれば良いのです。これが実際に店舗を開業する側の立場にたってしまうと難しく、開業したい一心で利用客の視点を忘れてしまったり、利用しやすさについて甘い評価をしてしまったりするものです。

立地選定問題(仙台駅前)

地点dの機会点と問題点はそれぞれ何でしょう。

  • 何かを評価する際には、+の側面である機会点と-の側面である問題点をよく考慮して、判断する必要があります。地点dの機会点は、通行の必然性が高い強力動線上にあり、店前の歩行者数(通行量)が十分にあることが挙げられそうです。これは安定的に集客するうえで有利な条件と考えられます。通行者のについては問題ないと考えられます。
  • を考えたら次に考えることは?通行者のです。
  • 仙台は東北地方最大の都市であり、広域からの集客がある。自分が遠方から電車ではるばる仙台までやって来て、ショッピング等を楽しもうとして藤崎、仙台フォーラス、三越方面に向かう場合を想像してみましょう。deの前を通過する際の気持ちや歩く速さ、視線の向きなど、自分の心理状態や体の各部の動かし方等はどうなっていますか?
  • 駅付近は通行人、しかも早く目的地に早く着きたいという人が多いのでは?そうだとすると歩く速さは意外と速く、視線は前方を向いて、下を向いているとしても意識は前進することに向いていることが考えられます。そこで、前を通るdに立ち寄ろうと思うだろうか?この点は冷静に考えるべきです。
  • 以上は「行き」の話。では、ショッピング等を終えて帰る場合はどうか?遠くから仙台に来ている人は帰りの電車を決めている人も多いかもしれませんね。その場合、電車の時間を気にしながら、駅に早く着きたいと考えるのではないでしょうか。
  • dやeの前を通過する際には、ショッピング等の目的も果たしている可能性が高いです。やはりdeの前は素通りする人が多いのかもしれません。このように通行人の心理状態等を想像すると、量が多いからと、楽観的に根拠なく勢いで問題なしと考えるのではなく、質的には問題点があると考えるべきなのです。

このようなことをやや速いスピードで話して、30分経過。脱線して出した関連するクイズ。

1.日本では百貨店は徒歩来店が可能なターミナル駅付近に出店しています。自動車でないと行くことが出来ない郊外型は1か所を除いて定着したものはありません。その1か所とは?
2.それにも関わらず三越が郊外型店舗を出店し撤退した場所があります。そんな昔の話ではなく、場所は西東京。(これは正解者あり)
1. 愛知県岡崎市の西武百貨店

2. イオンモール武蔵村山

色々な地名や商業施設名、テナント名がどんどん出てきて、全然分からないという学生がいることも後から分かりましたし、また、それは予想していましたが、たまにはそんな授業があっても良いでしょう。こちらも将来お店を開業したという学生さんが将来、不採算店を作らないように、学生の知識を増やす手伝いをしたいと本気なのですから。

続きは次回のブログで。

出店戦略講義シリーズ【第1講】の記事はこちら