チェーン店本部が売上予測モデルを作ってみたものの、「新店の売上予測が当たらない」「出店前の予測と実際の値に乖離(かいり)があり困っている」などはよく耳にする話です。そうした問題に対して、これまで企業様のお手伝いさせていただく中で、最近強く思うようになってきたことがあります。

売上予測というと、エクセル等で関連するデータを揃え、それに統計的な処理をすればできるものと思いがちです。私自身も20年程前この仕事を始めた当初は、関連すると思われるデータを片っ端から集めて、精度を上げるためにいわば機械的にモデルを作っていたことがありました。手順をふめば何らかのものはできるのですが、これを新店にあてはめて予測が当たるかというと必ずしも当たらない。また、当たらなかった場合の原因も特定できない。そんな時期がありました。

しかし、データを集めてそれを処理するだけでは不十分であるということが、やっと分かってきました。

効率的に売上予測の精度を上げるために本当に必要なことは何か?について、まだ荒削りな点も含むと思われますが、お話したいと思います。

新規店舗の物件が提案され、売れるか売れないかを判断する際に、様々な立場の人が、その人の経験則やそれに基づいている(と信じたい)直感のようなものを根拠に(無責任にも聞こえるような)意見を言います。

店鋪開発以外の部署の人にありがちですが、「ここは施設の入口からの視認性が悪いから売れない」、「物件の前を人が通ってないから売れない」、「近くに○○が出ると売上が落ちる」、「客層が云々」など、なぜかネガティブな意見はよく出てくるように思われます。人や品揃えで決まるという人もいます。

そうした様々な意見は、ほとんど全て“正しい”のです。

しかし、問題は何かというと、売上が店によって高かったり低かったりする原因を、ごく少数、人によっては1つ、の事柄で説明しようとすることです。

少数の原因だけで判断した場合、売上の実測値は大きくブレるはずで、仮に当たったとしてもそれは“まぐれ”です。“まぐれ”でないと言うためには、同じ原因だけで100件の予測をして90件が当たる必要があります。それができれば苦労はしないのです。

が、現実には、社内で経営者などの立場の高い人でさえもが、過去の経験則などから予測値を出し、それが当たらず、その原因も特定できずにいるという話は少なからずあります。それが上場企業という場合もありますから驚きです。勝ちパターンが分かってない中で出店をしているということですから、投資家が聞いたらどう思うか?と心配にもなります。

そのようなことが関連し、“売上予測が当たらない”ということになるのです。

ではどうするべきか?

ここからはまだ荒削りなのですが、売上予測にはある“作業パターン”のようなものがありますので、一部ご紹介させていただきます。

まず、売上が店によって高かったり低かったりする原因を、先程“正しい”とした様々な意見をも含めて、徹底的に洗い出す必要があります。

「売れる」「売れない」は、一つの要因だけで説明がつくほど単純なものではありません。その際に、闇雲に要因を洗い出すだけでは不十分であり、関連するであろう要因を網羅的に洗い出す必要があります。結局は同じことを言っている要因ばかりを集めても駄目なのです。

ホワイトボードでも、ノートでも良いですし、ポストイットを使っても良いですし、要因を最低でも20個箇条書きにしてみてください。

作業手順は、弊社セミナー新講座『店舗開発担当者のためのエクセル・統計講座』でも詳しく解説させていただきたいと思います。