8月に2週間上海に滞在して見聞した情報をもとに、1か月ほど『上海“徹底現調”』シリーズのブログを連載してまいりました(一本目の記事はこちら)。まだまだ書きたいことはあるのですが、夏も終わりということで当ブログもそろそろ国内の話に戻りたいと思いますので、ここで全体的な所感を述べさせていただければと思います。
中国は人口が日本の10倍以上の大きな市場であり、経済成長が続いています。
これだけきくと、その中国の1級都市の一つである上海は魅力的な市場に思えるのですが、チェーン店が多店舗化する市場としてみると進出・展開には慎重さが要求されるように思います。もっと言えば、人口が多いので出店すれば売れると単純に考えるのは危険であるように思います。
中国は人口が日本の10倍以上ですが、それ以上に日本がかなわないものがあります。それは国土の面積で、そこには10倍どころではない開きがあります。日本は国土の大半が山地であり、商業に適する平坦な土地の面積を考えるとその差は更に大きくなります。よって商業地やターミナル駅などを歩くと、上海よりも東京の方が人が多い印象を受けます。狭い領域に多くの人が集中する度合いは東京の方がはるかに高く、上海で人がごった返している印象を受けるのは「人民公園駅」や「南京東路」「外灘」などの特別な地域を除くとそれほど多くないように感じます。
この夏、上海の主に浦西を中心に現調する中で強く感じたことは、“上海市民”を安定的に集客できるゾーンは狭い領域に集中している、ということでした。滞在期間の短い観光客が必ず訪れる、上海を象徴するような場所は、地元の上海市民が頻繁に訪れる場所であるとは限らないのです。上海でも商業施設やオフィスビルの開発が進み、上海市民の勤務先、買い物先などの選択肢が増え、特定の場所に人々が集中する度合いが低下したようです。それだけに人口の多い上海であっても、安定的に集客できるソーンや区画を自らの目で確認し、主体的に選択することが求められる訳です。
“上海市内に1号店オープン”は良いのですが、“上海市内のどこに?”にこだわる必要があるのです。これは東京だから何処に出店しても大丈夫というわけではないのと同じことです。こういう目で見ると“この上海出店は大丈夫なのか?”と思うこともありました。このあたりは近いうちにまたブログ等でお話させていただきたいと思います。
以上、上海とはいえ出店すべき場所は想像以上に限られている、ということで、上海現調レポートをひとまず締めくくりたいと思います。長い間お付き合いいただきありがとうございました。