X(旧Twitter)で「ファミリーレストランのジョイフルはローカルチェーンなのか?」という議論が盛り上がっています。
ジョイフルは大分県の会社で九州地方に店舗が多いため、九州の方にとってジョイフルは「どこにでもある当たり前の存在」であることでしょう。しかし、首都圏を含めた東に移るにつれてジョイフルの店舗数は少なくなり「あまり見かけない存在」となります。こうした認識のギャップが地域間で大きいことが、今回の議論の発端にあると思われます。 今回は、この議論に対して、弊社が提唱している「全国チェーンの出店戦略:5つの類型」にジョイフルをあてはめながら、同社の現状と今後の注目点を整理してみます。
ジョイフルは「ナショナル・チェーン」である
結論から言えば、ジョイフルは「ローカルチェーン」ではありません。かつて撤退した北海道を除けば、四国、中国、近畿、北陸、東海、関東、そして東北まで店舗が存在しており、展開範囲としては立派な「ナショナル・チェーン(全国チェーン)」です。
しかし、なぜ「ローカル」という印象が拭えないのでしょうか?その理由は、店舗数の地域配分が偏っていることにあります。
ナショナル・チェーンは、実は更に2つに分かれます。 ユニクロ、マクドナルドなどの有名チェーンは、行く先々でよく店舗を見かけますよね?こうしたチェーンは市場規模が大きい市場には店舗数を増やすように出店しています。一方で、店舗数もそれなりに多く全国展開しているのですが、あまり店舗を見かけない、有名チェーンと呼んでよいのかはっきりしないチェーンもあります。 これらを弊社では以下のように定義しています。
「集中型全国展開」という独特のステータス
全国チェーンの広がり方は、大きく分けて以下の2つに分類されます。
- 分散型全国展開(全国区チェーン): 各都道府県の人口比率に合わせて店舗を配置するスタイル。どこに行っても同じような頻度で店舗を見かけるため、全国的にブランド認知が安定します。
- 集中型全国展開(現在のジョイフル): 特定の地域に圧倒的な店舗数を集中させつつ、その他の地域には少数の店舗を「点」として散らしている状態。店舗の管理、配送等の効率が高まりにくい。 ジョイフルはこの「集中型全国展開」の典型例で、ジョイフルの場合は九州・西日本に店舗数を集中させています。西日本ではインフラや物流、店舗管理の効率が非常に高い一方で、東日本ではそれらの効率が低下しやすい、いわば「アンバランスな全国展開」といえます。
首都圏でのプレゼンスの不十分さが「全国区」の壁に
ジョイフルが全国区の有名チェーンとして認識されにくい最大の要因は、日本の人口が集中する首都圏での存在感の薄さ、市場プレゼンスの不十分さにあります。
同社のウェブサイトによれば(2026.2.6時点)、人口が集中し転入人口も増加傾向の東京都でわずか4店舗。その次に店舗数を増やすべき神奈川県はまだ未出店です。このように人口の多いマーケットをカバーしていないことが、ブランドの「全国的な認知度」の低さに直結しています。
今後の注目点
今後、ジョイフルが関東圏を含めた全国の人口比に合わせて出店を加速させながら「分散型全国展開」へ移行し、名実ともに「どこにでもあるファミレス」を目指すのか?それとも、現在の「集中型全国展開」を維持するのか?
いずれに進むかが注目すべきポイントです。SNSでの議論は、ジョイフルの出店戦略の曖昧さが、消費者の目にも顕在化している証拠といえるでしょう。 「集中型全国展開」という状態は、店舗網の管理、配送などの効率性の面から長く留まることは推奨されません。しかし、東京都、神奈川県に店舗数が少ない状況が長いこと続いており、今のところジョイフルを全国区にしようという考えは希薄であるように見受けられます。
ちなみに上場企業のジョイフルの時価総額は約390億円です。 参考までに首都圏以外から全国展開を進めていると考えられるファミリーレストランのブロンコビリーは586億円。SRSホールディングス(和食『さと』を展開)は532億円です。
