出店戦略論『幸楽苑vs.日高屋』店舗地域配分が対照的な2社の比較【1】

多店舗化する企業が出店に関して意思決定しなければならない要素には

①総店舗数 ②出店する市場の地理的範囲 ③総店舗数の地域配分 ④想定する個々の店舗の立地のバリエーション

があり、想定するストア・ブランドのイメージを軸に、それらを別個に考えるのではなく、同時並行に、システマティックに検討する必要がある、ということを、このブログでご説明してきました(「出店戦略論」シリーズご参照)。

今日からのシリーズでは、「③総店舗数の地域配分」について、中華そばチェーン2社の事例をまじえてご説明したいと思います。

なぜ「総店舗数の地域配分」の状況を把握する必要があるのか?

多くのMini-boxタイプのリテーラーは、最初は商品力や目新しさ、話題性等で集客できていたとしても、時間が経つにつれて、あるいは、顧客が利用経験を蓄積するにつれて、利用の際の“利便性”が求められるようになります。

利用の際の利便性とは、要は、“もっと手軽に利用できるようにしてほしい”という要望です。いつまでも行列して待たされてまでして、あるいは、労力や時間、交通費等をかけてまでして来店し続けてくれることはないのです。同じお客さんであっても、彼らは時間と共に質的に変化するのです。そしてこうした変化に対応できたストア・ブランドが彼らの生活の中に定着し、ブランドとしての寿命を長くすると言って良いでしょう。

こうした新たな要望に対処するための企業側の戦略要素としては、商品力をどの店舗でも均質化すること以外に、立地の利便性の提供や適切な営業時間、迅速かつ丁寧な接客サービスなどが関係します。そのうち、ここでは“立地の利便性”を考えます。

立地の利便性は、多くのお客さんが利用しやすい、行きやすい場所に店舗を立地させることにより高まります。よってある自治体・エリア(商勢圏)に展開し一号店を出店した後、追加的に出店を行う必要があります。そこにあと何店舗出店するべきかについては、自社のブランドの最終的な意味合いやイメージを何にするか、また、ブランドの成長段階によって変わってきますので一概には言えませんが、既存店舗への打撃(いわるゆカニバリ)を最小限に留めるように、定期的に2店目、3店目を開店する必要があります。その結果、消費者に対し、勢いがある・成長しているブランドという印象を与えると同時に、ストア・ブランドが市場へ浸透していくのです。

このように多くのMini-boxタイプのリテーラーでは、新たな自治体・エリアへの地域拡大と、展開済みの自治体・エリアへの浸透を同時並行に進めなければならないため、出店計画が複雑となるのです。そして、例えばある年の目標出店数が100店舗とした場合、その100店舗を地域拡大と市場浸透にどう配分するべきかが経営課題となります。それは、出店は投資活動であることを考えると、最大のリターンを得るために投資をいかに地理的に配分するべきかと同じことです。

地域拡大に傾注しすぎると、既存市場での顧客の不満足が高まったり、競争相手が出店したりする可能性もあります。一方で、既存市場への浸透に傾注しすぎると、未出店地域の一等地を競争相手に奪われる、既存市場での店舗間の売上の食い合い(カニバリ)が生じるなどの問題が生じます。それに対して「③総店舗数の地域配分」の状況を把握することが役に立つということをお話したいと思います。

続きは明日のブログで。