超大型連休前の4月26日、日本経済新聞に、西松屋チェーンさんの「全国1,000店舗達成!」という広告が大々的に掲載されていました。
これを記念して、西松屋チェーンさんの店舗網の健康状態を、勝手に無料診断してみたいと思います。

ここでは個々の店舗がどこに出店しているかではなく、店舗網全体の形状に注目します。

個々の店舗の立地だけを見て出店を続けていると、店舗の集合体である店舗網が歪な形状になってしまうことがあります。歪な形状とは、市場の大きさに対して出店数が多すぎる、あるいは、少なすぎる地域市場が混在したり、少ない数の店舗が遠隔地に散らばっていたりする状態を言います。店舗網の形状が歪になると、一部の既存店の売上が振るわなくなったり、店舗を管理するためのコストが高くなったりしがちで、企業収益にも好ましくない影響を与えてしまうことが考えられます。

ただ、西松屋チェーンさんのように1,000店舗体制となると、店舗網はほぼ全国に広がっていると思われます。この場合に問題となるのは、“1,000店舗をそれぞれの地域市場の大きさ応じて配分できているか?”ということです。
市場規模の小さい市場に過剰に出店すれば売上の食い合い(カニバリ)が生じてしまいますし、逆に、市場規模の大きい市場で出店数が不十分な場合は競合に売上機会を奪われます。このあたりの市場計画ができているかに迫ってみたいと思います。

表は都道府県別の2018年の推計人口(総務省統計局)と西松屋チェーンさんの店舗数を示しています。%は都道府県ごとの店舗数の比率です。

健康診断で見る視点は、推計人口で示される市場規模に相応しい数の店舗が都道府県ごとに出店されているか、というものです。%の値を比較すると、首都圏では店舗数が十分でないことが分かります。

また、表には含まれていませんが、都道府県ごとの%を二乗したものの合計で10,000に近いほど特定の都道府県への集中度が高いことを意味する数字(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)を比較すると、推計人口が430に対して西松屋チェーンは328と集中度の数字が低く、推計人口に比べて店舗数が分散している度合いがより高いことが分かります。