大型商業施設のこれまでとこれから【5】現在どのような問題が生じているか?

消費者行動調査から読み解く首都圏商業施設の近未来~専門店テナント企業は今後、新規出店の案件をどう判断するべきか?~(講演録)

現在、生じている問題

講演録【4】からの続き)こういう時代背景を踏まえて、今どのような問題が生じているのでしょうか。

1.大型商業施設の過剰感

一つ目は、大型商業施設そのものの過剰感です。こんなに開いて大丈夫なの?、こんなにいっぱいあって大丈夫なんですか?…といった声をよく聞くと思います。

2.どこも同じような店ばかり

  • 大型商業施設といえども、施設面積が大型である、目新しいテナントが入居している、といった理由だけでは差別化要素とはなりえなくなった。
  • 開業当初は想定以上の広域から多くの消費者を集客したものの、それが継続する期間は短くなっている。
  • 開業当初は目新しさがあり、希少性の高いテナントの導入等により“ハレの日使い”の場として機能していたように錯覚された施設も、あっという間に“日常使い”の場所となる。
  • 頻繁なテナント入れ替えにより、親和性の乏しい、ちぐはくなテナントミックスとなってしまう施設が目立つ。

あるいは、どこも同じようなお店じゃないですか?、どこも同じようなものが入っているね、…といった評判が立つようになっています。

施設の面積が大きいとか、目新しいテナントが入っているといった努力は、どこの商業施設もやっているわけで、それだけではなかなか差別化要素とはならなくなってきたのではないでしょうか。

あるいは、お客さんが地理的に移動しやすくなっているので、開業当初、想像以上の広域からお客様を集客するのですが、それが継続する期間、いわゆる「オープン景気」の期間というのが短くなってきたのではないでしょうか。もしくは、「オープン景気」自体が不発に終わっているところが多いのではないでしょうか。

原因は“過剰感”です。ですから、大型商業施設は、開業当初は「“高感度”な商品を揃えました」であるとか、「地元にまだ出店していない日本初上陸のブランドが出店しています」ですとか、そういったものを揃えることによってなんとか集客を図ろうとしています。ちょっとひどい言い方ですが、「ハレの日づかいの場所」として錯覚された商業施設が多いのではないでしょうか。それが、開業から間もなく、あっという間に日常づかいの場所になってしまいます。あちこちに商業施設があるので、もうそんなに特別な場所ではないんです。だから、開業当初はこういった目新しさで勝負した施設も、日常使いになってくると、そういったものが本当に必要なのか?となってしまい、結果としてテナントの入れ替えが頻繁に行われるようになっています。開業して3ヶ月~半年たった商業施設を見にいった時に、テナントの閉店予告が出ていないところを見つけるのは今や非常に難しいのではないかと思えるぐらいです。その結果、テナントミックスの統一性のようなものが崩れてしまって、「これの隣になぜこういう業態があるんだろう?」とちぐはぐなテナントミックスになってしまっている商業施設が至るところにあります。

以上が現在生じている問題なのではないでしょうか。商業施設が過剰である、オーバーストアである、どこにいっても同じようなものがある、という話をもっと深く掘っていくとこういうことになるのではないか、という問題意識が生まれてくるわけです。

SCの勝ち組・負け組は?
  • 毎年新たな大型商業施設の開発が進んでおり、開業当初は話題になるものの、その後はどうなったのか?

SCの勝ち組・負け組は?このような問題意識を持っているわけですが、データがないので、自社で消費者調査を行いました。毎年新たな商業施設が開業し、話題になるんですが、その後どうなったのかを知りたくはないですか?よくありますよね。開業当初は民放のテレビ局が取材に行って、バラエティー番組で取り上げたり、レポーターが商品を試食したりするシーンがでて、「こんなに人が並んでいます」といったシーンがテレビに出たりするのですが、「その後どうなったんだろう?」ということをフォローしている報道はほとんど見ません。弊社では、その点を3年連続でデータをとり、商業施設利用実態調査というレポートにまとめました。新しく空いた商業施設が消費者の生活の中に定着しているのだろうか?ということを確認することが目的です。

その結果の一部をご紹介します。続きは講演録【6】で。

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