昨日の問題の解説です。以前当ブログでお話ししたことの焼き直しですので、ご記憶の方は飛ばしていただいて構いません。

ここは新興のオフィス街で、最寄り駅と最近完成した大規模オフィスビルを結ぶように道路がのびており、その中間地点に大きな交差点があります。今後も周辺にオフィス等の開業が予定されています。

この道路上にA(駅出口)~E(オフィスビル内)の5か所の出店機会があったとします。あなたがコンビニセンスストアを1店舗開業するとしたらどこを選びますか?ただし、現時点ではコンビニエンスストアは他にないとします。

オフィス街立地選定の問題大学の講義では、学生に人気があったのがAとB、次いでEとC、最も人気がなかったのがDでした。

まずAから。駅近くの立地です。オフィス街の駅ということで、通勤客が店前を通過するのは朝夕の限られた時間であり、通過の際の心境を考えると行きは“早く会社に到着したい”、帰りは“早く帰りたい”ということで、集客しづらいことが予想されます。ただ、通過の必然性の高い施設付近ということで、環境変化の影響の受けやすさは低いため、賃料もそれなりにすると考えると利益を出しづらいことが予想されます。

通過動線上のBとCとDを考えてみましょう。これらはすべて最初のうちはかなり売れると思われます。しかし、将来の環境変化ということを考えると危険があります。将来の環境変化でもっとも注意すべき点は“競合の出店”です。B~Dが繁盛する場合、必ず競争相手の出店が発生します。

Bを使わざるを得ないのはどのような人か?それは通りを挟んでBと反対の区画(①)に勤務先がある人です。Cの併用も考えられます。

Cを使わざるを得ない人はどのような人か?同じく通りを挟んでCと反対の区画(②)に勤務先がある人です。この場合はBの併用は考えにくいです。勤務時間中に勤務先から最寄り駅方向には戻りたくないものです。

この場合、区画①と②のどこかに競合店が出店すると、BとCの売上は大きく食われることが予想されます。また、Eに出店された場合、オフィスビルに勤める人はそちらを利用する可能性が高いです。Eの出店により客がとられるのはDも同様です。Dは区画②からの集客を期待することが難しく、Dの背後の狭い範囲に勤務する人が最終的に安定した顧客となるため、苦しむことが予想されます。

こう考えると、Eは顧客になりうる人がオフィスビルに勤務する人に限定されるものの、周辺環境の変化による影響を最も受けにくい立地といえます。また、顧客の層が限定されることで顧客の動きも読みやすくなり、ロスなどが出にくくなることも期待できます。

よって、この講義での正解はEとします。

ちなみに区画①と②の角地から片方にそれた立地にどこかが出店した場合、もう片方にそれた立地にもどこかが出店する可能性があります。オフィス街は人の移動距離が非常に短いためです。角地から離れた立地にどこかが出店すると、強い企業が角地に出店してきます。その後、強い企業は、角地から離れた既存の競合店よりさらに離れた区画に、競合店を挟むように出店します。こうして挟まれた店舗は、顧客がより立地の利便性の高い両隣の競合の店舗に奪われ苦しくなっていくのです。

このような具合に、あちこちにコンビニエンストアが見かけられるようになるのです。

何か集客力のある施設と施設の間の立地は、将来的な環境変化を考えると危険であると考えるべきなのです。

今度、街で「テナント募集」の看板を見かけたら、どのような立地かを観察してみてください。交差点と交差点の間や、駅と駅の間、といった具体に何かと何かの間にある場合が多いはずです。

これ以上書くと一部の方から怒られてしまうので、このあたりで止めにします。

続きは明日のブログで。