前回の続きです。ここまでは、“一店舗”を町(以後、エリアと呼びます)のどこに出店するかというレベルの話でした。個人が店舗を開業する際にも当てはまります。

次は、多店舗展開する企業で問題となる事柄をいくつか考えてみましょう。

これから日本市場で多店舗化しようとしている企業で、参入前に問題となることは、“一号店をどこに出店するべきか?”ということです。

まずは“都道府県レベル”でどこに一号店を開けるべきだと考えますか?次の1、2のどちらの考え方を選びますか?

  1. 日本の首都は東京で、情報は東京から全国に広まるので東京を選ぶべきである。
  2. 東京は世界的にも地価が高く賃料も高いため利益を出せるか不安があるので、地価の安い他の道府県を選ぶべきである。

この講義での正解は“1”とします。2のような不安があるブランドは、日本での展開など試みない方が良いのかもしれません。

東京を中心に北海道、北陸にまで新幹線が開通し、今後はリニアの開業も予定されており東京への一極集中がさらに進む日本市場では、東京での知名度を上げ、勢いをつけ、その力を地域市場に展開することにより効率の良い全国展開が可能となります。

次の質問は“では東京のどこに?”です。これはエリアレベルの立地選定問題です。

東京都の中のどのエリアを選ぶかという問題です。エリアとは、東京都心でのイメージは“駅”を中心とした領域を言います。この場合も先ほどの都道府県レベルの話と同様で、地価の安いエリアを選ぶか、そうではなく情報発信力のあるエリアを選ぶかという基準で考えます。

  • 不特定多数の人が利用し、宣伝効果の大きい駅(ターミナル駅といいます)はどこですか?
  • 乗降客数の上位の駅は?…

といった質問攻めに多くの学生はフリーズしてしまったようですが、“お台場”と答えた学生がいました。店舗があっても良い場所ですが、一号店としてはインパクトが弱い。次に出た“品川”も同様。次いで“上野”が出ました。しかし、東北・上越新幹線も東京に延伸し、かつての北からの玄関口の意味合いは無くなりの優先順位は低い。ということで、次回は乗降客数の多い駅から説明することとして今回は終了。

授業終了後に受けたコメント:土地勘がなく難しく感じた。それに対して返したコメント:これをきっかけに土地勘をつけてください。地理を勉強してください。

これで第2講のレポートはおしまいです。続きは第3・4講のレポートで。