「ブランディング」という言葉はビジネスの現場でよく耳にしますが、その本当の意味を正確に理解するのは難しいものです 。経営陣が急に「うちもブランディングだ!」と言い出したとき、店舗開発の担当者はどのように出店を進めればよいのか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか

今回は、店舗ビジネスにおけるブランディングの「本音」と、ブランド価値を落とさないための出店の考え方について解説します

ブランディングの「本音」とは?

一般的な定義として、ブランディングとは「ロゴやパッケージなどのブランド要素と、差別化されたブランド価値の連想を消費者の頭の中に育む活動」とされています 。しかし、これを店舗ビジネスの「本音ベース」に置き換えると、以下のようになります

  • 店舗をカッコよくしたい 。
  • 他社より選ばれるようになって、客単価や売上を上げたい 。

このようなブランディングに成功すると、有利な条件で出店しやすくなり、優良な物件情報も集まりやすくなるという大きなメリットがあります

出店戦略との「ズレ」がもたらす危険性

問題なのは、店舗の出店活動がブランディングと連動していないケースが多いことです

ブランディングを意識した出店では、「どの街(自治体)に出店するか」という市場選定が非常に重要になります 。市場は大きく分けて2つに分類できます

  • 特別な消費が行われる市場: 市場規模が大きく、百貨店などの高級な小売業態が集中するエリアです 。
  • 日常的な消費が行われる市場: 生活に密着しており、気軽に足を運べるエリアです 。

「店舗をカッコよくして客単価を上げたい」という目標がある場合、当然ながら市場規模が大きく、特別な消費が行われる街を積極的に選ぶ必要があります

もしこれを無視して、店舗の構えだけを良くし、市場規模のランキングが低い日常的な街に出店してしまうと、ブランドのイメージが崩れて客離れを引き起こします 。結果として、出店条件が不利になり、情報も集まらなくなるという悪循環に陥ってしまうのです 。そのため、ブランドを守るためには「これ以下の市場規模には出店しない」という下限を設けることも必要です

地理とデータの知識で市場を見極める

的確に市場を選定するためには、市区レベルの「自治体の市場規模ランキング」を知っておく必要があります 。その際、国が集計している「小売業年間商品販売額(単位:億円)」というデータが非常に役立ちます

2016年のデータ(コロナ禍前の数値)を参考に、日本のトップクラスの市場規模を持つ自治体を見てみましょう

  • 9,500億円を超える自治体: 日本で最も金額が高いこの層には、東京都の「中央区」「新宿区」「渋谷区」の3つが該当します 。
  • 8,000億円〜8,500億円の自治体: この層にも3つの自治体があります 。1つは東京都の「港区」です 。残り2つは関西(大阪府)の「北区(梅田周辺)」と「中央区」です 。

このように、自治体名とその市場規模のボリューム感をセットで記憶しておくことは、出店する順番や店舗数の配分をイメージする上で非常に便利です

ブランド価値を高めるためには、単に店を綺麗にするだけでなく、データに基づいた「出店場所のコントロール」が不可欠です

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