「店舗開発」という仕事を聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか? 「不動産屋さんに行って、いい空き物件を見つけて契約する仕事」 もしそう思っているなら、それは大きな誤解です。

店舗開発とは、単に「店を開けること」ではありません。「会社が成長し続けるための利益を生む店」を、戦略的に作り出すことこそが真のミッションです。

本記事では、未経験者には少し分かりにくいこの仕事の「本当の役割」と、具体的な「3つの業務フロー」、そして社内で信頼される担当者になるためのポイントを、実務の視点から徹底解説します。


1. 店舗開発=「物件探し」ではない?

多くの人が抱く誤解の一つに、「店を開けるのは、部屋を借りるのと同じくらい簡単だ」というものがあります。 「空いている物件を見つけてくればいいんでしょ?」と思われがちですが、実務はそう単純ではありません。

なぜなら、本当に「売れる立地」は空いていないからです。 日本国内で、小売・サービス業が利益を出し続けられる「良い立地」の数には限りがあります。その限られたパイを奪い合うのは、まさに「商業立地戦争」とも言える厳しい競争の世界です。

店舗開発担当者の仕事は、ただ空き物件を埋めることではありません。 「売れて、利益を出し続けられる店舗」を開店させ、企業の成長エンジンを作ること。もし失敗すれば、多額の設備投資が無駄になり、撤退も容易ではない――そんな重い責任とやりがいを背負った仕事なのです。

2. 店舗開発の具体的な「3つの業務フロー」

では、実際にどのような流れで仕事が進むのでしょうか。大きく分けて以下の3段階のプロセスがあります。

① 物件提案(情報の収集と評価)

まずは出店すべき物件情報の収集から始まります。集まった情報の中から、自社の戦略に合致するかどうかを瞬時に判断し、売上予測を行います。 「ここに店を出せば、これだけの利益が見込める」という根拠を持って、会社に提案するフェーズです。

② 社内調整(合意形成)

実はここが最も泥臭く、重要なパートです。 物件オーナーとの条件交渉を進めながら、並行して社内の関係部署(営業、財務、経営陣など)と調整を行います。「なぜこの場所なのか?」「条件は適正か?」という問いに答え、出店への合意形成を図ります。

③ 決裁・契約

社内会議での最終承認(決裁)を得て、晴れて不動産契約を締結します。 しかし、これで終わりではありません。内装工事への引き継ぎ、開店後の運営部へのバトンタッチ、そして開店後の予実管理(売上予測が正しかったかの検証)までが、広義の店舗開発の守備範囲です。

3. 社内で信頼される担当者になるために

店舗開発は、出店して終わりではありません。もし不採算店を作ってしまえば、その責任は開発担当者に問われます。 逆に、売れる店を作っても「あって当たり前」と思われがちで、なかなか褒められない孤独な仕事でもあります。

そんな中でプロとして活躍するために必要なのは、「透明性の高い業務遂行」です。

  • 論理的な説明力: 「なんとなく良さそうだから」ではなく、データと戦略に基づいた出店理由を説明できること。
  • 出店基準の明確化: 経営計画に基づいた「出店戦略」を立て、それに沿って物件を選んでいることを社内に示すこと。

「あの人が持ってくる物件なら間違いない」 そう社内から信頼されることこそが、良い店舗を継続的に作り続けるための鍵となります。


まとめ

店舗開発とは、企業の未来を作る「投資判断」そのものです。 専門的な知識とタフな交渉力、そして社内を巻き込む調整力が求められる高度な職種ですが、自分が手掛けた店舗が街に生まれ、多くのお客様で賑わう光景を見られるのは、何にも代えがたい喜びです。

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