小型店舗を全国規模で多店舗化する企業を想定し、同社が日本の北海道に20店舗開店するためのマーケット・プランを立案せよ

前回の続きです。自治体レベルでどこまで店舗網を拡大するべきか?札幌市で留めるか、2位以下の市場にも拡大するべきか?拡大する場合、どの市までとするか?について決定する客観的でロジカルな方法の二つ目は、“人口がある基準値を上回る市を選定する”という考え方です。

この基準値は、企業の日本国内全体での出店状況によって変わるものです(この点はシニアの上のディレクター・レベルの決定事項で、決定方法は後日お話します)。

仮にその企業が全国展開を目指し、北海道に20店舗を開店するとしたら、総店舗数はいくつくらいが妥当かを考える必要があります。この場合も、人口応じて店舗数を地域に配分するという考え方を応用すると、北海道の総人口が約543万人、日本全体の総人口が1億2500万人程度とすると、北海道の人口比率は4.3%となります。4.3%の人口に20店舗ということは、20/0.043=465.1で465店舗と概算できます。1億2500万人を465店舗で割ると268817.2となります。約26.9万人につき一店舗と計算でき、その値が“基準値”となります。これを北海道の市に当てはめますと、人口が26.9万人を超えているのは3位函館市までとなります。函館市はぎりぎり1店舗、旭川市も人口34.7万のため1店舗までです。2店舗開けるには人口が基準値の26.9万人の2倍の53.8万人を上回っている必要があります。

以上、企業全体の状況と人口データのみからざっくりした値を計算した結果、次のような仮説が導き出せます。

  • 市場規模から出店可能なエリアは札幌市が最も優先順位が高く7店舗、次いで旭川市、函館市でそれぞれ1店舗、合計9店舗が出店可能である。
  • もちろん採算を度外視するなら更にエリアを拡大しつつ店舗数を増やすことも可能ですが、店舗が採算をとるには一定の市場規模が必要であり、4位以下の市は出店候補地に含めるべきではない。
  • 数字の上では20店舗の開店は、一部の店舗の収益性を犠牲にしない限り困難であり9店舗が妥当な目標である。
  • 20店舗を開業するには、標準的なフォーマットの半分程度の売上でも収益が出せるフォーマットが必要となり、それが可能な場合、出店地域は釧路市以下千歳市まで拡大できる。

ここまでは人口データのみで機械的に出店数を割り振って来ました。しかし、現実的に9店舗開業して良いものなのでしょうか?

因みにここで仮に直感で4位釧路市までとした場合、その店舗網は高コスト体質となります。なぜかお分かりですか?それは少ない数の店舗が札幌から遠く離れた3都市に分散するため、配送や管理コストの効率が悪化することが予想されるためです。

このシリーズはたくさんのアクセスをいただき好評でしたので、回を改めて特別講義を組みたいと思います。

 

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