「急がば回れ・脱丸暗記」の宅建講座【第9講】
続きです。あと条文3つで農地法の勉強はお仕舞です。頑張ってください。
- もっとも緩やかな許可制度は第3条許可です。農地は農地のままで、所有者だけ代わるケースです。(図1)
【図1】
農地又は採草牧草地 → 農地又は採草牧草地
所有者A → 所有者B
この場合、許可を受けるのは誰かというと新しい所有者Bです。Bさんが、ちゃんと農業をする人かどうかを判断して許可をします。判断するのは誰かが重要です。
(農地又は採草放牧地の権利移動の制限) 第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。
許可を与えるのは“農業委員会”です。第3条許可(権利移転の制限)は農業委員会の許可が必要です。
- 第4条許可(農地の転用の制限)は、所有者は変わらないが転用があるケースです。(図2)農地を小屋にするようなケースです。
【図2】
農地 → 農地以外
所有者A → 所有者A
この場合、許可を受けるのは所有者Aです。許可を与えるのは農業委員会ではありません。では誰か?
(農地の転用の制限) 第四条 農地を農地以外のものにする者は、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可(その者が同一の事業の目的に供するため四ヘクタールを超える農地を農地以外のものにする場合(農村地域工業等導入促進法 (昭和四十六年法律第百十二号)その他の地域の開発又は整備に関する法律で政令で定めるもの(以下「地域整備法」という。)の定めるところに従つて農地を農地以外のものにする場合で政令で定める要件に該当するものを除く。第五項において同じ。)には、農林水産大臣の許可)を受けなければならない。
許可を与えるのは“都道府県知事”です。ただし、4ヘクタールを超える大規模な農地転用の場合は“農林水産大臣”です。大規模なものは都道府県ではなく国の許可がいります。
- もっとも厳しい第5条許可は、農地と所有者が同時に代わる場合です。(図3)個人的な話ですが、今住んでいる自宅を立てるときに私は第5条許可を受けました。農地だった土地を私が購入し宅地にして家を建てました。(現在、土地の半分を農地として使っていますが・・・)許可を与える人については第4条許可と同じです。
【図3】
農地又は採草牧草地 → 農地又は採草牧草地以外
所有者A → 所有者B
(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限) 第五条 農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可(これらの権利を取得する者が同一の事業の目的に供するため四ヘクタールを超える農地又はその農地と併せて採草放牧地について権利を取得する場合(地域整備法の定めるところに従つてこれらの権利を取得する場合で政令で定める要件に該当するものを除く。第四項において同じ。)には、農林水産大臣の許可)を受けなければならない。
許可を与えるのは“都道府県知事”です。そして4ヘクタールを超えるときは“農林水産大臣”となるのですが、ここで問題。
Q 次の内容は正しいか、誤りか? 農地2ヘクタールと採草放牧地3ヘクタールについて権利取得する場合の第五条許可を与えるのは農林水産大臣である。
農地2ヘクタールと採草放牧地3ヘクタールで合計5ヘクタールなので、4ヘクタールを超えている。だから農林水産大臣の許可を受けなければならない。よって“正しい”とされた方は残念ながら不正解です。
“4ヘクタールを超える農地又はその農地と合わせて採草放牧地につて権利を取得する場合”とあります。注意が必要なのは“その農地”です。“その農地”は直前にある“4ヘクタールを超える農地”を指します。
問題では農地2ヘクタールなので、採草放牧地があったとしても、第5条の“その農地”には該当しません。よって農林水産大臣ではなく、都道府県知事の許可が必要です。