店舗開発における「売上予測」。 ある程度の店舗数がある企業なら、統計的なモデル(重回帰分析など)を活用して精度を高めていくことが求められます。しかし、複雑に絡み合う要因をすべてデータだけで解き明かそうとすると、往々にして壁に突き当たります。

「なぜ、この店は市場規模が同じなのに売れないのか?」

この問いに、机上の空論ではなく「正解」を導き出すための、手っ取り早く、かつ最も正確な方法をご紹介します。

1. 「1つの要因」で説明しようとしない

売上予測を外す大きな原因は、売上の高低を「1つの要因」だけで説明しようとすることにあります。実際には、複数の要因が少しずつ、同時に影響し合っています

考慮すべき要因の数の目安は、「店舗数 ÷ 10」です 。例えば50店舗を運営しているなら、5つ程度の要因を同時に考慮する必要があります。これを人間の頭だけで処理するのは限界があるため、統計的なモデルが必要になりますが、その前にやるべき「下準備」があります 。

2. 「散布図」から異常値を見つける

まずは、「市場規模(人口や世帯数など)」と「店舗売上」の関係を表す散布図を必ず作ってください

散布図を作ると、市場規模が上がるにつれて売上も上がる傾向は見えても、1本の線では説明できないバラツキ(売上が高い店と低い店)が必ず現れます 。ここで重要なのは、「市場規模が同じくらいなのに、売上に大きな差がついている2〜3店舗」を特定することです 。

市場規模が同等である以上、その売上の差は、市場規模以外の要因(立地の質や競合状況など)によって生まれていることになります

3. 「運営部門」へのヒアリングが最強のショートカット

この「売れない理由」を一人で考え込んでも、なかなか答えは出ません。そこで推奨するのが、「運営部門の担当者」へのヒアリングです

店長やエリアマネージャーに、こう聞いてみてください。 「A店とB店は商圏の市場規模がほぼ同じなのに、なぜB店の方が売れないのだと思いますか?」

面白いことに、人は「売れる理由」を語るより、「売れない理由」を語る方が得意な傾向があります 。現場からは、データには現れにくい生々しい意見が返ってくるはずです。

  • 「実はあの場所、間口が狭くて視認性が極端に悪い」
  • 「看板が街路樹で隠れていて、気づかれにくい」
  • 「競合店があの位置にあり、実はかなり強力に集客している」

4. ヒアリング結果を予測モデルに組み込む

こうした現場の声は、売上に影響を与える要因のうち、市場規模以外の要素(立地の質や競合の強さ)に直結しています

ヒアリングを通じて得られた「売れない理由」を分類・整理し、それを数値化(スコアリング)して統計モデルに組み込んでいくことで、売上予測の精度は飛躍的に高まります。

まとめ:売上予測は「他部署との連携」で完成する

売上予測は、なぜその金額になるのかという「なぜ」を説明する仕事です 。 一人で計算機を叩くのではなく、現場を管理している運営部門と日頃から良好な関係を築き、その知見を少しずつ取り入れていく。このアナログな連携こそが、ロジカルで精度の高い予測モデルを作るための最短ルートなのです

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