前編で示した都市型ロードサイドの立地評価基準に基づいて、先日7月28日にリニューアルオープンした “ステーキハウス フォルクス 高井戸東店”(以下、フォルクス高井戸東店)をとりあげ、例として物件評価を行ってみたいと思います。周辺環境や区画から、都市型ロードサイドの典型的な店舗のように思われたためです。
地図と航空写真から判断すると、“フォルクス高井戸東店”は、商圏・立地に関してはAランクの「都市型」のロードサイド店に該当します。しかも、中の橋交差点に面した角地のようです。
フォルクス高井戸東店の物件評価
都市型ロードサイドの立地は、地価も高く、まとまった面積の土地も得にくいということで、店舗と駐車場の面積按分が重要となります。
ステーキ店を含む“重飲食”では、家族や友人同士など複数人で来店することが多いことが予想されます。グループ人数は少なくとも2名、多いと5~6名になりえます。
この場合、店内の座席数に対して駐車場台数は少なくても良く、駐車場台数は、座席数をグループ人数の平均で割った値が目安となります。両者のバランスがどうなっているかを現地で確認しました。
フォルクス高井戸東店の現調レポート(店内)
駐車場は2か所あり、広い方(写真1)は21台、環八通りに面した方(写真2)は4台、駐車場台数は合計25台でした。
グループ人数を4名と仮定すると、座席数は25かける4で100席必要です。そんなに席があるのかと思い、入店してみると・・・
店内は外観から想像していた以上に広く、4人席を中心に108席ありました。
ここまでは理にかなっている印象を受けました。
しかし、リニューアル開店から2日後の30日に訪店したのですが、座席の稼働率は10%程度。時間帯が16時ごろだったためかもしれませんが、空いています。(店員さん曰く)休日は混雑するが、平日は落ち着いているとのことでした。
フォルクス高井戸東店の現調レポート(店外)
ロードサイド店舗としての使い勝手はどうなのか、店外に出て物件調査を続けます。
店舗の物件評価、とりわけロードサイドの場合は、まず前面道路との関係を確認します。
図1は、店前を自動車で通過する場合のパターンを示しています。
このケースでは、環八通りを南から北上して右折するパターン、環八通りを北から南下して左折するパターン、西から東へ直進するパターンの3パターンがあります。
このパターン数が多いと多方面から集客が期待できる店舗となるため予測売上も高くなる、と考えます。
写真5は、店舗前に西から来て環八通りを超えて東(新宿方面)に向かうときの景色です。
首都高速の真下で、店舗の直前道路は一方通行であり、対向車線からの侵入は不可能であることが分かります。その先には、見にくいかもしれませんが首都高速・高井戸ICの入口のサインがあります。交差点を超えてすぐ左に駐車場入口があることが“事前に分かっていれば”確認できます。
写真6は、環八通りを南下してきたときの店舗直前の景色です。前面道路は3車線あり、店舗に接する道路は左折専用であることが分かります。新宿方面へ向かう車輛、高井戸ICから首都高を利用する車両が、移動を主目的に通過する場所であるようです。その場合、店舗の直前を通過する車両のスピードは速く、店舗が集客するには不利となります。
写真7は、この通りに面している4台分の駐車スペースのものです。その直前は赤信号の時に車両が停車してしまい、また、青信号の時は左折を急ぐためスピードが上がるため、ここに駐車するのはかなり困難であると考えられます。仮に駐車できたとしても、退出にも苦労を要することが予想できます。よってこの4台分の駐車場は稼働率がかなり低いはずです。この店舗も物件評価においてはマイナス要因です。
もう一方のメインの駐車場入口は写真7で左折した先にあります(写真8)。
交差点を徐行したあとに、スピードが上がりやすい左手に入口があります。INのサインが小さいこと、進入口の間口が狭いこと、ガードレールでふさがれていて道路から入口まで距離があること、奥に広い駐車場でどのくらい自動車が停まっているかが瞬時には分かりにくい、など、事前に分かっていないと入るのに苦労させられるであろう要因が多くあります。
写真9はこの駐車場の入口の様子です。車線から入り組んでおり、敷地前には歩道もあることが確認できます。南下してきた車両が左折する様子も分かります。
ここまででロードサイド店舗として捉えると、残念ながらマイナス要因が多いことが分かります。
ただ、この店舗はあまり自動車での利用を期待していないのかもしれない、と考えられる情報がありました。写真10をよくご覧ください。
この駐車場は一般利用を兼ねています。また、フォルクスを利用しても平日は90分、土日祝日も120分しか無料とはならないことが分かります。休日に家族等でステーキを食べに来たら、多くの客が2時間以上は滞在するような気がします。平日も、特に夜間に90分を意識してステーキを食べるのは、個人的には落ちつかないですね。
ここまででフォルクス高井戸東店は自動車での来店をあまり重視していないようである、という仮説に至りました。
これが「郊外型」であれば大きな問題となるところですが、このケースは「都市型」でした。
足元商圏には集合住宅などもあり、周辺には駅もあり、徒歩や自転車での来店を期待することができました。
写真11は店舗の入口の前のものです。自転車が数台停まっていましたし、奥の駐車場に親子で来店して駐輪している方もお見掛けしました。 現地調査の時は暑いさなかで、通行する人は少なかったものの、店舗直前の交差点は自転車で通行する人が途切れない印象です(写真12)。
高級な部類に入る、客単価が高いレストランであることを考えると、路上に無造作に自転車が並んでいるのはイメージ的によろしくないので、4台分の駐車場を駐輪スペースにするなどの対策も考えられるように思います。
徒歩・自転車での来店客を増やす、メニュー等の魅力を高めてわざわざタクシーで来店する客を増やす、など、方策は立てやすいのが“都市型ロードサイド”です。














