捨てるカミあれば、拾うカミあり

競合調査といえば、一番知りたいことは、競合店の売上や客数ではないでしょうか。近くの競合店はいくら売っているのか?お客さんは何人ぐらい入っているのか?といった情報です。

正確な数字はなかなか知ることが難しいものです。が、正確に調べられない場合も、ある程度推計する方法をいくつか持っておく必要があります。皆様はいくつぐらいご存じでしょうか?

ここでは、“無料でできる市場調査”シリーズとして、簡単に、しかもタダでできる競合店売上調査方法の一つを、具体的にご紹介します。意識していないとすぐ捨ててしまう、あるものを使います。それは、ある紙です。

競合店に行ったら必ずやっていただきたいこと

競合店でなくてもよいのですが、ある店舗の売上を知りたい、客数が何人ぐらいなのか知りたい、といったときに、必ずやっていただきたいことがあります。

競合店に行ったら、①「ある物」を確認します。そして、②「ある物」を入手します。…さて、①と②の「ある物」に入る言葉は何でしょう?

真っ先にやっていただきたいことは、まず①「レジの台数」を確認してください。スーパー、コンビニ、ファーストフードの店、いろいろなところに行かれると思いますが、入った瞬間にこれを確認してみてください。

それから、何らかの方法で②「レシート」を入手してください。自分でお買い物をしていただくのもよいでしょう。あるいは、あまり大きな声では言えませんが、捨てられたレシートがたまっている場所などもありますよね。

私の場合、レシートが落ちていると、必ず拾います。なぜかというと、情報の宝庫だからです。

集めたレシートの見方と分析方法

集めたレシートの見方は、こちらの動画で実物を使って解説しました。文章より分かりやすいと思いますので、ご自分でもやってみようという方は参考になさってください。最初は、レジの台数が少ないお店で試してみるのがおすすめです。

まず、レシートのどこに「レジ番号」が書いてあるかを確認し、同じレジ番号のレシートだけを取り出します。

次に、「何時何分」に出力されたレシートかを確認し、同じ日のレシートを、時間が早い順に並べて比較します。日時は必ずどこかに打刻されています。

そうすると、時間とともに増えている数字がレシートのどこかに見つかると思います。これが、レジを通過した件数、取引番号(トランザクションともいいます)である可能性が高いので、この数字に着目します。引き算をすると、時間帯別の取引件数を推計することができます。

注意すべきは、この数字が、その日のレジを通過した回数をそのままズバリ示しているかというと、その保証はないという点です。朝の開店時にカウンターがゼロにリセットされ、1・2・3…と売った順番に取引番号を打刻してくれるシステムになっていればありがたいのですが、そこまで親切な会社はないと思われます。ですから、この増えている番号を記録して、後の時間の数字から、前の時間の数字を引き算して、時間帯あたりの取引件数を推定します。

こうして得た数字に、推定の客単価を掛け算して、売上を推計していきます。同じレシートの下の方には、支払われた金額が出ています。その数字を使うと、大雑把な客単価を出すことができます。

レシートは情報の宝庫

レシートというのは、実際に取引が行われた事実を反映した証拠ですから、貴重な情報がたくさん載っています。見方によっては取引件数が分かりますし、客単価も推定できてしまいます。購入品目も書いてあるので、どういうものが売れているのか、どういうものとどういうものが組み合わせて買われているのかも分かります。

ですから、レシートは捨てないでとっておくこと。とっておくだけではなく、積極的に拾いに行くこと。店舗開発では、日頃から、このような姿勢が必要なのではないかと思います。とはいえ、怪しまれない程度にしましょうね。うまくやっていただきたいと思います。

それから、お店で何か購入する際には、例えばファーストフード店で「フードとドリンクをセットで買おう」という時は、2回に分けて購入してください。そうすると、レシートの変化が分かるので、取引件数がレシートのどこに表示されているかが分かります。

ということで、捨てるカミあれば拾うカミあり。「レシート」を有効に活用してください、というお話でした。

弊社YouTubeチャンネルにミニ講義もアップしましたので、こちらもぜひご覧ください。